■中南米出場国から不満続出の「保険料不均衡問題」

 また、今大会前に大きな注目を集めたのが、保険金問題だ。

「この保険は選手が大会でケガを負った際、欠場中の年俸を保険会社が肩代わりするもの。いわば、球団のための保険です。保険契約を受諾するかどうかは、個々の選手の故障歴や年齢、年俸などを加味したうえで、保険会社が総合的に判断します」(スポーツ紙デスク)

 仮に保険適用外の選手が出場する場合、所属球団が“無保険”のリスクを背負うことになる。だが、そうした球団は皆無に等しく、実際は保険会社に出場の可否が委ねられることになる。

「ここで問題なのが、その保険会社はMLBと選手会が選定した会社、という点。そのため、有力選手が保険適用外となった国から、“手心が加えられている”と反発を招いた」(前同)

 メジャーリーグ評論家の福島良一氏も、こう続ける。

「保険金問題でリンドアら、選手を大量に欠く結果となったプエルトリコなどの言い分としては“自分たちの扱いと比べても、日米の選手が不当に優遇されている”。客観的に見ても“そう思われてもしかたない”と思える事例が少なくないのも確かですからね」

 確かに肘に2度、メスを入れ、年俸も100億円超と巨額の大谷翔平(31/ドジャース)は、保険が却下されても不思議ではない。

「それでもいち早く出場が決まり、ドジャースのゴームズGMは“打者専念となったのは保険の問題ではない”と発言しましたからね。実際のところは、大谷にも保険会社は投手としてはNGを出した模様。投手は4年分の年俸が保障対象なので、カバーできなかったのでは」(前出のデスク)

 ちなみに千賀滉大(33/メッツ)や今永昇太(32/カブス)、佐々木朗希(24/ドジャース)らの不出場は保険とは一切無関係。

 彼らはあくまで、球団独自の判断に個々の選手が同意したケース。また、選手自らが“出ない”と決める場合もあるようだ。

「千賀は現状、ローテ枠の6番手を争う立場。1年契約でカブスに残留した今永も、好条件を勝ち取るためにも今季は正念場。本人としてもシーズンに集中したい、という思いがあったのだと思います」(福島氏)

 他方、佐々木については、昨年5月に右肩のインピンジメントが発覚した際の“前科”の影響もありそうだ。

 前出の元メジャーリーガー・藪氏氏も、契約社会のアメリカで暮らした経験から、こう補足する。

「すべてのリスクを把握して、管理下に置く、というのが向こうでのスタンダード。彼のような若手なら、その傾向はなおさら顕著になるでしょう。例の故障を監督にさえ報告していなかったことが重く見られている部分も、少なからずあると私は見ていますけどね」

 夢舞台に立つだけでも、クリアすべき高いハードルが課されているようだ。

【続編】大谷翔平の“ドーム特大弾” で全勝1位通過に期待! WBC侍ジャパン全情報【1次ラウンド・打者編】では、大砲ぞろいの打線で井端弘和監督(50)を悩ませる打順や、岡本和真(29/ブルージェイズ)&村上宗隆(26/ホワイトソックス)に匹敵するNPBの主砲候補についても詳細している。

福島良一(ふくしま・よしかず)
スポーツジャーナリスト、メジャーリーグアナリスト。千葉県出身。学習院高等科、中央大学商学部卒業。大学在学中から主としてメジャーリーグの評論・取材を行っている。主な著書に『日本人メジャーリーガー成功の法則 田中将大の挑戦』(双葉社)『もっと知りたい!大谷翔平 SHO-TIME観戦ガイド』(小学館)など。

藪恵壹(やぶ・けいいち)
三重県南牟婁郡御浜町出身の元プロ野球選手(投手)・コーチ、解説者・評論家・YouTuber。NPBでは1994年から2004年に阪神タイガース、2010年に東北楽天ゴールデンイーグルスでプレーし、阪神時代の1994年にはセントラル・リーグの新人王を獲得、2003年にはチームのセ・リーグ優勝に貢献した。NPBにおける通算成績は279登板、84勝106敗、防御率3.58。またMLBではオークランド・アスレチックスとサンフランシスコ・ジャイアンツでプレーし、実働2年間で100試合に登板した。