日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が本サイトで現代のトレンドを徹底解説。今回、戸田氏が注目したのは、「ブラジリアン柔術」。中高年の間でひそかなブームになっているようです。

 

 いま、日本の大人たちの間でブラジリアン柔術が新たな習い事として注目を浴びています。

 きっかけは、岡田准一さんや玉木宏さんといったトップ俳優が国際大会という真剣勝負の舞台に立ったこと。2026年1月にポルトガルで開催された欧州選手権での彼らの勇姿は、多忙なトップスターであっても一人の選手としてマットに上がるストイックな姿を広く印象づけました。

 また、お笑い芸人のガリットチュウ福島善成さんが世界大会や欧州選手権で優勝を飾ったニュースも記憶に新しく、中高年世代にとってブラジリアン柔術への関心がにわかに高まってきている印象です。

 実際、国内の競技人口は、2010年代後半の1万人程度から現在は約3万人規模にまで拡大していると言われますが、特筆すべきはこの競技が若者以上に、運動不足を自覚する30代から50代以上の「大人」に深く刺さっている点です。

「かつてのようなアスリートのための激しい格闘技ではなく、普通のシニアや会社員が日常の一部として取り組める生涯スポーツとしての側面が大きな支持を集める理由でしょう。打撃がないため、翌日の仕事に影響を出しにくいことも社会人にとっては大きなメリット。

 海外でも、実業家のイーロン・マスクやマーク・ザッカーバーグがブラジリアン柔術の愛好家として知られていますが、力任せではなく、テコの原理や理屈で相手をコントロールする「身体を使ったチェス感覚」が知的な刺激を求める大人に響くのでしょう。

 年齢や職業を超えてフラットに接することができるコミュニティは大人の新しい居場所にもなります。激しい運動は避けたいが何か熱中できるものを探している層にこの適度な負荷とパズル的な要素が合致し、沼る人が増えているのだと思います」(格闘技ライター)