相撲界の内情や制度、騒動の行方を、元関脇・貴闘力が現場目線で読み解く。経験者だから語れる、大相撲のリアルが詰まったコラム。

 大相撲春場所が、3月8日に初日を迎えた。

 今場所の「目玉」は、なんと言っても大関・安青錦の「綱取り」。

 昨年九州場所、今年初場所と2連覇している安青錦は勢いに乗っている。体にも厚みが出てきて、今や「小兵」と呼ぶのもためらわれるほどだが、立ち合い、一気に出てくる大型力士が苦手という弱点がある。

 このまま横綱まで駆け上がるのか……というと、オレ的には、「ちょっと待てよ!」という感じだ。

 横綱・大の里は安青錦に強いが、もう一人の横綱・豊昇龍は本場所で安青錦に一度も勝っていない。ここは、両横綱が盾にならなければいけない場面だ。

 大阪で開催される春場所は、「荒れる春場所」と言われていて、意外な力士が優勝する場合が多い。それと、寒かったり暑かったり、天候もコロコロ変わるから、体調管理が難しい。

 安青錦の場合、「天気」という敵との戦いに勝つことも、横綱昇進のカギになるんじゃないかな?

 安青錦が優勝すれば、文句なしで横綱昇進。準優勝でも場合によっては、昇進がありうる。じゃあ、優勝争いの行方は? となると、これがまったく読めない。

 横綱昇進後、一度も優勝経験がない豊昇龍は、喉から手が出るほど、優勝したいはずだ。だから、2月の花相撲でも、わざと「オレは強いんだ」というところをアピールしていた。

 豊昇龍は横綱になるために、かなり無理をして体を大きくした。横綱・照ノ富士が引退して「横綱不在」を避けたいという、相撲協会の事情もあっての昇進だった。今、そのツケが出てきている。