日本競馬界のレジェンド・武豊が名勝負の舞台裏を明かすコラム。3月15日のGII・金鯱賞ではジューンテイクに騎乗予定の、彼のここでしか読めない勝負師の哲学に迫ろう。
(以下の内容は2026年3月9日に寄稿されたものです)
2月28日、競馬学校23期生の藤岡佑介騎手が騎手仲間から胴上げされ、ステッキを置きました。
デビューから22年。JRA通算1110勝を挙げ、フェアプレー賞を6度受賞した佑介は、インタビューで2024年4月に落馬事故で亡くなった弟・康太騎手について、
「いい関係でライバルとして頑張ってこられたのは、ありがたかった」
と涙を流し、続けて、
「どんなにつらいことがあっても、レースで勝って、たくさんの仲間、お客様から、“おめでとう”“ありがとう”と言ってもらえるだけで、全部、忘れて最高にハッピーな気持ちになれるジョッキーという仕事が、本当に大好きでした。
また、生まれ変わっても、一緒にジョッキーになりたいと思います」
という言葉を残して、ターフを後にしました。
3月1日からは調教師の先生です。次に、佑介に会うときは、敬意を込めて、「佑介センセイ」と呼ばせてもらいます(笑)。
同じく3月1日から、センセイになる競馬学校12期生の和田竜二騎手は、1月11日に起きた事故により、左手尺骨と左足骨を骨折。ラスト騎乗はかないませんでしたが、最後に、“心の声を聞いてください”として、次のような言葉で騎手人生を締めくくりました。
「競馬で勝って喜んでもらえることが何よりの幸せでした! 競馬最高!」
その通りです。競馬は楽しいんです。みんなに喜んでもらえることが嬉しいんです。競馬は他の、どの競技にも負けないくらい最高なんです。
佑介、竜二。長い間、お疲れ様でした。一緒に乗れないのは寂しいけど、これからは調教師として、いい馬を育ててください。2人からの騎乗依頼を待っています(笑)。