■トラブルメーカーもいればエリートも…当たり外れの激しいシェアハウス

 こうした場合、最善策は「管理会社に報告すること」だというが、根本的な解決にはならないという。

「シェアハウス業界では入居者のブラックリストが共有されておらず、問題を起こした入居者がいたとしても、その物件から退去させられるだけで別のシェアハウスに移ることが可能なんです。これは業界全体の住人の質にもつながっていて“寂しいのでルームシェアしたいけど集団生活に向かない人”など問題行動を起こしがちな人でも簡単に入居できてしまいます」(前出の西田氏・以下同)

 また、シェアハウスはかつて外国人留学生も多く住み、若者同士の国際交流の場にもなっていたというが、近年では様変わりしていると西田氏は語る。背景にあるのは少子化だ。次世代を担う人材が減少したことで、企業も学校も若者を“囲い込む”ようになったことが影響しているという。

「今は各大学が日本人・留学生向けに綺麗で利便性のある学生寮を充実させている。企業も同様に寮を整備したりしています。その影響から、最近は若者のシェアハウスへの入居が減っています。たとえ、住んだとしても外国人同士や日本人同士というケースが大半です」

 まるで良いところがないように聞こえるシェアハウス生活だが、メリットとデメリットは表裏一体だ。シェアハウスは良くも悪くも“柔軟”で、これが居住者のプラスに働く部分もあると西田氏は言う。

「メリットはすぐ入退去できること、初期費用はほぼゼロ、家具・家電付きといった部分ですね。シェアハウスの審査はオーナー次第、あってないようなものですし、更新や長期契約もないから“とりあえず住む”が可能なんです。1週間だけの短期間から入居可能な物件だってある。例えば長期出張の人はシェアハウスに入ればホテルより安く済みます。航空業界など家に帰る機会が少ない人にも勝手が良いでしょう」

 実際、ビジネスパーソンの中には“あえて”シェアハウスを利用する人もいるそうだ。

「近年は地価の高騰が影響して都心の一等地ではシェアハウスの家賃も高く、経済的なメリットが薄れています。 “安いから住む”だったものが“少し足せば一人暮らしできる”価格帯になっている。結果として、六本木や大手町ではエリートサラリーマンが職住近接を求めて“あえて”シェアハウスに住むケースも増えているんですよ。

 私の取材では大手商社や外資系金融機関勤務の人が入居しているケースもありました。他にも、“人脈づくり”を目的に入居し、シェアハウスで築いた人脈で起業するケースも少なくありません。

 総じて、シェアハウスは“安い、大規模、若者中心、国際交流が盛ん”から、“高い、小規模、高齢化、閉鎖コミュニティ”に変化しているといえます」

 春からのシェアハウス生活を考えている人は、今一度検討してみよう。

西田浩史 (にしだ・ひろふみ)
シェアハウスマニア。ここ数年で全国の約200件のシェアハウスを宿泊・取材。人が共同生活に関することに興味。追手門学院大学客員教授、ルートマップマガジン社 取締役・編集長。2016年ダイヤモンド社『週刊ダイヤモンド』記者、塾業界誌記者を経て、19年追手門学院大学アサーティブ研究センター客員研究員、20年から現職。