3月8日から開催中の大相撲春場所。一番の見どころは、大関・安青錦の「綱取り」だろう。ウクライナ出身、入門から2年半の安青錦は、どのような指導を受けて強くなったのか? 

 超スピード出世の裏側を、師匠・安治川親方(元関脇安美錦)に聞いた。(取材・文/武田葉月)

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――昨年、九州場所の初優勝に、今年初場所での連覇と、愛弟子・安青錦関の勢いが止まりませんね。

安治川:先場所は、新大関の場所だったこともあり、安青錦本人もだいぶ緊張感があったと思うんです。ただでさえ、あれこれ(取り組みのことを)考え過ぎる点があるので、「考え過ぎないように」とだけ、アドバイスしました。

――12日目には2敗同士で、熱海富士関との対戦に。この日から締め込みを、それまでの青色から黒色に変えましたね。黒の締め込みは、師匠が現役当時に使っていたものだったとか。

安治川:ええ。12日目の熱海富士戦はキーポイントになると見ていました。それで、気持ちを変えるためにも、締め込みを変えることを提案したんです。この対戦で勝って、単独トップに立ったので、まあ、よかったんじゃないですか(笑)。

――ところが、14日目に横綱・大の里関に敗れて3敗。千秋楽では熱海富士関との優勝決定戦となりました。

安治川:熱海富士の圧力に押された場面もありましたが、落ち着いているように見えました。(初場所で敗れた)大の里、王鵬などの圧力でぐいぐい攻めてくるタイプの力士に対して、どう対応するかというのが、今後の課題だと思います。立ち合いのバリエーションを増やしていく必要があると思いますし……。

――それでも混戦を制して、2度目の優勝を決めたのは、見事でした!

安治川:本人の努力の結果です。安青錦は私が稽古場でアドバイスしたことを基本的にすべて覚えていて、自分のものにしています。何度も繰り返して言うことはありません。そういう意味では、理解する能力が高い力士だと思います。