■「綱取り」は自分から攻めていくことがポイント

――春場所、安青錦関はいよいよ「綱取り」の場所となり、初日から大注目を浴びることになりますね。どのような展開になると思われますか?

安治川:豊昇龍、大の里の両横綱が優勝争いを引っ張っていくと思いますけど、先場所活躍した、熱海富士、義ノ富士らも、元気な相撲を取ってくるのではないかと思います。

 あと先場所、成績こそ振るわなかったものの、安青錦を倒した王鵬。きちんと稽古はしているので、いつ、ひと皮むけてもおかしくないでしょうね。むしろ、パーンと弾けないところが、徐々に力をつけている証拠で、伸び代があるんじゃないかと思います。

 また、(安青錦が尊敬している)若隆景、兄の若元春は、30歳を過ぎたとはいえ、まだまだ大関を狙える存在です。若隆景は、ケガが多い力士だから、体調次第ではありますが、いいものを持っている。彼ら兄弟にも注目したいですね。

――安青錦関の「綱取り」は、いかがでしょうか?

安治川:注目されることを覚悟して、自信を持って相撲を取ってほしいですね。課題は馬力。体つきも変わってきているから、これまでと違うこともしないといけません。大きなケガをしないよう、自分から攻めていくことがポイントになります。

――苦手の横綱・大の里戦に関して、何かアドバイスなどはありますか?

安治川:一発勝負で驚かせて、いろんなことをやって勝つという手もありますが、横綱を目指す以上は、真っ向から行かないと。横にいなすとかではなく、真っ向勝負で攻略できるよう指導しています。

――春場所への師匠としての意気込みをお願いします。

安治川:安青錦は、縁があって来日して、関西大学相撲部の練習生になりました。もともと関西がベースなので、大阪での盛り上がりはスゴイと思いますが、それに影響されて自分のバランスを崩さないでほしいと、師匠としては心配しています。

 とはいえ、本人は「上を目指す」意欲は満々なので、横綱を目指して頑張ってほしい。やることやって、大阪に乗り込みますよ!


【前編】「外国人の入門は断るつもりだったけど…」ウクライナ発“最強大関” 安青錦を育てた安治川親方インタビューでは、「外国人は断ろうと思っていた」という安治川親方が、安青錦関を受け入れるきっかけとなった出来事や、驚きの食生活、トレーニング法なども詳報している。

《【前編】はこちらから》

安治川親方
1978年、青森県西津軽郡深浦町生まれ、伊勢ヶ濱部屋。師匠の伊勢ヶ濱親方(元横綱・旭富士)は親戚、父は元青森県相撲連盟会長、兄は元幕内の安壮富士という相撲一族。
小1から相撲を始め、青森・鰺ヶ沢高から、兄と同じ安治川部屋に入門。97年初場所で初土俵を踏む。
右ひざの靱帯断裂という大ケガを乗り越え、2007年に自己最高位となる関脇に昇進。
37歳で迎えた2016年には左アキレス腱を断裂し、十両へ陥落するも、2017年には史上最年長の39歳で再入幕を果たす。
2019年7月場所、40歳で22年を超える力士生活に別れを告げた。三賞受賞は歴代10位の12回(殊勲4、敢闘2、技能6)。獲得金星は8個。
2021年に早大大学院スポーツ科学研究科の修士課程1年制に入学。