■出前館とロケットナウが打ち出した“対抗策”
一方で、フードデリバリー業界には明確な弱点も存在する。値段の高さだ。実際に新宿区の一画にある本サイト編集部からUber Eatsのアプリでお昼時にマクドナルドの『ビッグマックセット』を頼んだところ、店頭では770円~(税込・店舗により価格は異なります・以下同)のところ配達料や手数料などを合わせると1954円に。
松屋の『牛めし』並盛に豚汁生野菜をプラスしたセットは店頭で頼めば850円~のところ2043円に。その差額は1193円、ほぼ1200円で倍以上の価格になる。餃子の王将でも『炒飯セット』は店で注文すれば1299円のところが、アプリ上での価格は1878円と表示された。
これにはSNS上でも《高すぎる》や《サービス料まで入れると頼む気が失せる》といった声で溢れている。
「外食より高くても、時間を優先したい人が使うのがフードデリバリーサービスです。そういったコアユーザーは、ほとんど取り込み切ってしまったのではないでしょうか」(前同)
もっとも、利用者がこのままUber Eatsだけを使い続けるとは限らない。そこに割って入ろうとしているのが、新進気鋭の韓国系企業Coupang(クーパン)が運営するロケットナウだ。
「2025年1月14日に日本へ上陸し、現在は北海道、仙台、首都圏、中部、関西、広島、福岡など、全国にサービス展開を拡大。アプリのダウンロード数は350万を突破しています。最大の武器は徹底した低価格戦略で、サービス料と配達手数料を無料とし、一部店舗では店頭と同価格での配送も打ち出し攻勢を強めています」(前出の流通アナリスト)
出前館も、2026年3月1日から『ねぎし』や『いきなり!ステーキ』など加盟店1万店以上が参加する店頭価格で商品の注文ができる『お店価格で出前館』のサービスを全国47都道府県に拡大している。
つまり、業界はここにきて“高いから使わない”といった層をサービス利用者に取り込むための値下げ競争を本格化させてきたのだ。
「外食産業全体の市場は32〜33兆円規模あると言われています。つまり、市場規模8000億円程度のフードデリバリー業界はまだその2.5%程度にすぎません。店頭と同価格で消費者の手元に商品を届けるデリバリーサービスの形が定着すれば、今後市場規模が2倍や3倍になってもおかしくはありません」(前出の鈴木氏)
フードデリバリー市場の主役争いはまだまだ続きそうだ。
鈴木貴博
経済評論家・百年コンサルティング株式会社チーフエコノミスト。ボストンコンサルティンググループ、ネットイヤーグループを経て独立。経済クイズ本『戦略思考トレーニング』(日経文庫)の著者としても有名。元地下クイズ王としての幅広い経済知識をもとに深い洞察力で企業や経済を分析する独自のスタイルが特徴。テレビ出演などメディア経験も多数。