医療の世界は日進月歩。昨日まで正しかったことが否定される、そんな逆転現象も珍しくない。肉より魚、1日1万歩――。疑いもなく信じてきた昭和の常識が、ときには健康を損ない、命の危険を招くことさえある。「昭和の常識」は「令和の非常識」。人生100年時代を健やかに生き抜くための“令和の新常識”を、4つのテーマに分けて徹底調査した。
日常生活の中にも、昭和の誤った常識がたくさん隠れている。
まず、カゼを薬で治すことだ。新潟大学名誉教授の岡田正彦医師が言う。
「もちろん、つらい発熱には解熱鎮痛剤が有効ですが、一方で、カゼ薬を飲まないほうが早く治るという研究データもある。カゼによる発熱はウイルスを弱らせるための免疫反応です。薬でむりやり止めると治りが遅くなるという考え方もあるので、なんでもかんでも薬で治すという考えは改めるべきです」
また、自然由来の漢方薬は安全というイメージがあるが、そうとは限らない。
「漢方薬にも副作用はあります。加えて、さまざまな生薬を配合して作られるので、気づかぬうちに同一の成分を過剰摂取してしまうケースがある。例えば、カゼで葛根湯、こむら返りで芍薬甘草湯、胃痛で人参湯を処方されると、“甘草”という成分を過剰摂取し、顔や手足のむくみ、血圧の上昇などを招きます。十分に注意が必要です」(総合内科専門医の秋津壽男氏)
意外なところでは、ふくらはぎマッサージが命の危険を招くことがあるという。
「ふくらはぎは心臓から遠く、血がゆっくりと流れているので血栓ができやすい。そこを揉むことで、ふくらはぎの静脈にできた血栓がはがれて血流に乗って肺の血管に溜まる。結果、エコノミークラス症候群のように、突然、血栓が詰まって、呼吸困難を引き起こす可能性があるので、マッサージはほどほどに」(岡田氏)
そして、定年後は隠居するという昭和の人生観も、令和仕様にアップデートしてほしい。
「全国屈指の長寿県である、長野県は、近年、県民の就業率の高さが注目されています。2020年の国勢調査では、65歳以上の就業率が31.6%と、全国1位の高水準を記録しました」(全国紙厚労省担当記者)
なぜ、働くことが長寿につながるのか?
「認知症の予防で最も大切なのが社会とのつながりだからです。仕事を通じ、人とのコミュニケーションが生まれ、脳が活性化する。
ちなみに、パチンコや麻雀などの趣味も有効です。楽しみながら手を動かすと、脳の“大脳辺縁系”が刺激され、認知症を予防します」(秋津氏)
古い常識を捨てること。それが、長生きへの近道だ。