■転売ヤーの黒い影。高額にならざるをえない事情

「たとえばファミコンの『バトルラッシュ』は状態がよければ買い取りが90万円、販売価格は180万円まで跳ね上がります。これはファミコン周辺機器『データック』専用ソフトという特殊性もあって、93年の発売当時はまったく売れなかった。ワゴンセール品として10円で叩き売られていたという都市伝説もあるほどですから。

 あとはハードが入れ替わる時期に出たソフトも相場が上がりやすいんですよ。ファミコンからスーパーファミコン、初代プレイステーションからプレイステーション2へ……新旧が重なる過渡期に出た作品は、そもそもの出荷数が少ないですからね。具体的なタイトルを挙げると、ファミコンなら『ギミック!』『サマーカーニバル'92 烈火』あたりです」

 かくして世間的には知られていないマイナーゲームを中心に、海外勢も巻き込んだ狂騒曲が繰り広げられている。

「スーファミはプレステが出た後の後期タイトルが狙い目かもしれません。『レンダリング・レンジャーR2』が44万円、『マジカルポップン』が50万円、このあたりが代表格でしょうか。初代プレステだと今の30代後半くらいの方が懐かしむようなタイトル……たとえば『LSD』『ラクガキショータイム』にプレミアがついています。PCエンジンはHuカードよりもCD-ROM2(シーディーロムロム)のソフトのほうが希少価値は出やすいのですが、ナグザットという会社が出した『コリューン』などは10万円以上の値がついていますね」

 驚くべきはソフトだけではない。ゲーム機本体、いわゆるハード側でも“事件級”のお宝が存在する。大竹店長が真っ先に挙げたのはシャープのファミコン一体型の14型テレビ『C1』だ。

「ファミコン一体型はなかなか出てこない。個人売買のオークションだと100万円くらいでやり取りされているのを見かけます。それに比べるとスーパーファミコン一体型の『SF1』はマシですが、それでも50万円くらいはします」

 インバウンド特需に笑いが止まらない……のかと思いきや、自身もゲームを心底愛するコレクターである大竹店長は、最後にこう語ってくれた。

「私たちも本音は値段を吊り上げたくないんです。でも、ある程度の値段をつけないと、転売目的の外国の人に買い占められて、本当に欲しがっているお客様に行き渡らなくなってしまうんですね。そこが一番の悩みどころです」

 こうしている間にも世界中のバイヤーが“日本に眠るお宝”を血眼で探しているのは事実。今やレトロゲームは“現金化できる資産”なのだ。

取材協力◎ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店
「レトロゲーム日本一…いや世界一を目指します!」と大竹店長が宣言するリユースショップ。2017年にオープンしたが、24年8月のリニューアルに伴いゲームに一層と力を入れるように。現在は“聖地”として海外から訪れるマニアも多いとのこと。都内のド真ん中に位置しつつも店内の面積は広く、ゲームソフト在庫数は1万個を超える。レトロゲーム以外にもオーディオ機器、カメラ、家電、腕時計など多くの商品を取り扱っている。