■「夕方のニュース番組」に女性スタッフが多い理由
夕方のニュース番組には女性局員が多数かかわっているとも鎮目氏は話す。
「朝のニュース番組の場合、徹夜で仕事をすることになりますし、昼の生放送でも夜中に出社して働くことになります。一方で夕方のニュースなら、いわゆる一般的な時間帯で働ける。ですので、子育てをしている女性局員には夕方のニュース担当が多いんです。
ただ、問題もあります。夕方のニュース番組が終わるのは19時前後で保育所に迎えに行けない時間帯ですからね。そういう場合でも今はだいたいの局で、子を持つ女性記者やディレクターには放送の準備だけしてもらい、その先は残るスタッフが引き継ぐという形に変わってきていますね」(以下、鎮目氏)
番組開始まで映像の編集や取材を行ない、番組が始まる頃には帰宅するという働き方が主流になりつつあるという。
「家庭を持ち、子育て経験のある女性記者やディレクターが残ってくれたほうが局にもメリットがありますよね。特に夕方のニュースのメイン視聴者は主婦層ですから、女性目線、母親目線の企画やニュースができますからね。
変わりつつテレビ業界にあって、特にNHKは民放に比べても配慮が進んでいる面が多々あるんです。ただ、鈴木アナのケースはさすがに私も見たこと、聞いたことがありません。業界的に初に近いことだったのではないでしょうか。そして、鈴木アナの家庭の事情を認めるNHKの環境は素晴らしいと思います。生放送でも、出演者が途中で退席することが女性に限らず男性でも当たり前になるかもしれませんね。
テレビ番組で当たり前にそういった光景を放送すれば、視聴者側も“プライベートで帰ってもいいんだ”という気持ちになりますし、普通の企業でも当たり前になっていく可能性もある。一般社会の働き方も変わっていき、日本全体として暮らしやすくなりますよね。
さらに言えば、タレントが産休に入った際に復帰を待って番組に戻ってもらえるような環境を作るのも必要ではないでしょうか。
そして、鈴木アナのプロ意識の高さも素晴らしいですね。本来であれば、1日休みにしてもよかったはずです。にもかかわらず、責任感や番組が好きという思いから途中退席してでも出演することを選んだのでしょうからね。
鈴木アナの家族の事情を認めた上司も素敵ですし、こういったことが当たり前に許されるような社内環境作りを民放も見習う必要がありそうです」
『あさイチ』の鈴木アナのように、MCが生放送を途中退席する番組がさらに増えていくことになるのかもしれない。
鎮目博道
テレビプロデューサー。92年テレビ朝日入社。社会部記者、スーパーJチャンネル、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。ABEMAのサービス立ち上げに参画。「AbemaPrime」初代プロデューサー。2019年独立。テレビ・動画制作、メディア評論など多方面で活動。著書に『アクセス、登録が劇的に増える!「動画制作」プロの仕掛け52』(日本実業出版社)『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)