オジサン世代には前世紀末の嫌~な思い出、“エアマックス狩り”。あの恐怖が、令和の女子の間で繰り返されているという。今回、標的となっているのはスニーカーではない。女子小学生を中心に爆発的流行を見せる“シール帳”と、そこに貼られる人気シールだ。
「トラブルはカツアゲ以外にも枚挙にいとまがありません。“シール弱者”がいじめの対象になるだけでなく、親のサイフから1000円札を抜き取って文具店に駆けつける児童も続出しています。お年玉や小遣いのすべてをシールに全ベットする“シール依存”も深刻化しています。現場の教員たちもこれらの問題に頭を悩ませており、全国の小学校で“シール禁止令”が出されるようになりました」(教育関係者)
なぜ数百円のシールが子供たちを狂気に駆り立てるのか? この異常事態について『転売ヤー 闇の経済学』(新潮社)などの著書があるライターの奥窪優木氏は「むしろ問題なのは大人のほう」と切り捨てる。
「人気シールであるボンボンドロップ(ボンドロ)は転売も問題になっていますが、他の商材とは少し勝手が違う部分があります。メルカリやヤフオクでムキになって売買しているのは、子供じゃなくて親なんですよ。
ボンドロの新作販売は今も定期的に行われていますけど、実際に並んでいる人たちを見ると大人ばかり。そもそも販売する時間帯が平日の昼間だったりするので、そんな時間に子供が並べるはずがないんですね。本来、シール交換なんて子供同士の微笑ましい遊びだったのに、親が介入したことで生臭いバトルの対象となったわけです」(奥窪氏=以下同)
シール集めの歴史を振り返ると、シール交換のムーブメントは1990年代から断続的に続いていた。“平成リバイバル”の一環とされるのも、そのためである。しかし、過去のシール帳ブームとは決定的に異なる点があるという。
「“レート”という概念が持ち込まれたことです。これによって牧歌的な世界がマウントの取り合いへ変わっていった。昔は1対1の物々交換が基本で、“それかわいいね”“じゃあ交換しようか”という会話が成立していました。ところが今のボンドロ界隈ではシールによって希少性が違うことが前提としてあって、“このレアなシールは普通のシール1枚とは釣り合わないよね。そっちは3枚出してよ”ということになる」
奥窪氏によると、これはポケカ(ポケモンカード)や遊戯王カードといったトレーディングカードゲームの影響が大きいという。
「自己顕示欲って概して子供より大人のほうが強いですからね。“自分の子供には負けさせたくない。ナメられないようにしたい”。そういった親心によってオーバーヒートした要素は多分にあるはず。子供のスクールカーストを格上げするための道具になっているきらいがある」