■WBC選手への誹謗中傷が巻き起こるワケを精神科医が解説
これまで幾度となくネット上での誹謗中傷が問題視され、刑事事件に発展したケースもある。それにも関わらず、どうして誹謗中傷はなくならないのか。また、日本を背負って戦った選手たちに心無い言葉を投げかけるユーザーの心理とは──。「ゆうメンタルクリニック」院長で精神科医のゆうきゆう氏が解説する。
「まず誹謗中傷は、依存症の一種だと考えられます。最初のうちはちょっとした憂さ晴らしとしてやっていたものかもしれませんが、その投稿に対するSNSでの反応や、共感、一体感などが刺激となり、快感を覚えます。そうやって得られた快感をさらに求める結果、誹謗中傷を止められなくなるサイクルが生まれ、いつしかそれまでの刺激では快感を得ることができなくなってしまう。そして、その後も快感を得るために何度となく同様の誹謗中傷を繰り返すだけでなく、言葉もどんどん強くなっていく、という状況が生まれます。
また、誹謗中傷の先には訴訟などが待っており、自分も金銭的・精神的にダメージを負うリスクがある。それにも関わらずコメントの書き込みをやめられないということからも、依存症に類すると考えられます」(ゆうき氏)
今年のWBCのように、通常以上に注目度の高い国際試合で日本代表が敗退したとき、選手や首脳陣に対して誹謗中傷が向けられることが多いのも事実だ。
「今回のWBCでは、自分自身を日本代表の選手や侍ジャパンそのものに投影している方が非常に多かったのだろうと思います。負けてしまったことによって、自分自身が否定されたかのようなストレスを受けている可能性もあります。また、連覇がかかっているということで期待も高く、だからこそ期待と結果との落差によって、より大きなストレスを受けてしまった可能性もあるでしょう。
とはいえ、実際には選手に対する励ましや感謝の言葉が多く投稿されており、多くの人が誹謗中傷するわけではありません。やはり、誹謗中傷を投稿する背景としては、投稿する人自身の人格や特性というものが、非常に強くかかわっているのではないかなと思います」(前同)
全力で戦い抜いた日本代表に向けられた心無い言葉たち……アルコールやギャンブルなどと同様に、「誹謗中傷の依存症」対策も必要な時代なのかもしれない。
ゆうきゆう
精神科医・マンガ原作者。
ゆうメンタルクリニック・ゆうスキンクリニックグループ総院長。
東京大学医学部卒業。医師業のかたわら心理学系サイトの運営、書籍執筆なども手がける。
シリーズ累計三〇〇万部を超える『マンガでわかる心療内科』(少年画報社)やJam氏との共著『マンガ版 ちょっとだけ・こっそり・素早く「言い返す」技術』(三笠書房)などマンガ原作、著書多数。
ゆうきゆう公式HP:https://sinri.net/
ゆうきゆうXアカウント:https://x.com/sinrinet
ゆうメンタルクリニック:https://yuik.net
ゆうスキンクリニック:https://yubt.net