■新解釈がふんだんな『豊臣兄弟!』
市(宮崎)は戯言で無骨な勝家(山口)を動揺させ、X上では《お市様が小悪魔すぎる、これはやばい。不器用な柴田勝家の純情をもてあそぶ悪い女あ!に見せてこれ本心なんでしょうね》《まあ、この二人が将来夫婦になるんだからね。と思ったら、明らかな布石を打ってきたぞ、お市が。この段階では戯れ言でしかないだろうけど》などと、これまでの大河にはなかった人物の動かし方に、大きな反響があった。
本格化する戦国の世に向けて、状況説明のつなぎ回だったが、登場人物それぞれの独自解釈が見えて興味深かった。市は男勝りというよりしたたか。信長(小栗)と厚い絆で結ばれた兄妹という設定が与えられ、勝家をからかう小悪魔ぶりも強調されている。その勝家は無骨なイメージだが、純情な一面を見せるなど、これまた新鮮なキャラ設定だ。
また、明智光秀(要)は20年放送の大河ドラマ『麒麟がくる』に比べて、より計算高い面が強調されていたし、徳川家康(松下洸平/39)はふてぶてしく描かれ、今後、どんな振る舞いを見せるのか期待しかない。武田信玄(高嶋政伸/59)をはじめとする戦国武将もチラ見せしていたが、それぞれ、どんな新解釈で描かれるのか楽しみだ。
視聴者から《戦国絵巻が革新されてる》という声があるが、史実を自由に書き変えることで新しい戦国大河が生まれつつあるようだ。平均世帯視聴率もWBCで日本が敗退したことも手伝って、12.1%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)に急回復。本格的な戦国時代が始まり、ますます『豊臣兄弟!』がおもしろくなりそうだ。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。