日々、若者文化や社会問題を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏。そんな戸田氏が今、注目するのは、令和の墓事情について。自分らしい最期を模索する「墓活」を掘り下げます。
先祖代々の墓を守り、盆や彼岸には親族が集まって手を合わせる。そんな日本の伝統的な風景が、激しい勢いで変貌を遂げつつあります。
少子高齢化や核家族化の影響により、墓の維持管理を重荷と感じる層が増える一方で、供養の形はかつてないほどの多様性を見せ始めました。自らの死後、重苦しい石の箱に閉じ込められるのではなく、もっと自由で自分らしい最期を演出したい。そんな願いを反映するように、葬送の世界では「墓活」がトレンドとなっています。その進化は目覚ましく、遺骨を加工して身につけたり、果ては空の向こう側へと放つ手法までが登場しており、まさにエンタメのような驚きが広がっているのです。
なかでも注目を集めているのが、遺骨から本物の宝石を生成する「遺骨ダイヤモンド」。これは、遺骨や遺灰に含まれる炭素を抽出し、人工的に高温・高圧をかけることで合成ダイヤモンドを作り出す技術で、ガラスや模造石とは異なり、化学的な組成や硬度は天然のものと変わりません。完成した輝きをペンダントや指輪に加工すれば、愛する人をいつも肌身離さず感じることができます。費用は数十万円から数百万円と決して安価ではありませんが、墓を建てる費用と比較すれば、新しい供養の形として合理的な面も持ち合わせています。何より、場所を固定されない自由さと、美しい宝石に姿を変えるというドラマチックな物語性が、現代人の死生観に合致したのでしょう。