■「墓を守らなければ」というプレッシャーから解放

 さらに、スケールの大きさで話題をさらっているのが、遺灰をカプセルに収め、ロケットで宇宙空間へと打ち上げる「宇宙葬」。地球の軌道を人工衛星として周回し、最終的には大気圏に突入して流れ星となって燃え尽きるプランもあれば、月面まで運ぶプランも存在します。日本でも代理店を通じて申し込みが可能で、宇宙への憧れを抱き続けた故人の願いを叶える手段として選ばれています。空を見上げるたびに「あそこにいる」と感じられるロマンは、残された遺族にとっても救いとなるはず。「お墓の掃除や維持に追われるより、夜空を見上げて故人を偲ぶほうが、今の私たちには合っている気がします」といった声も聞かれます。

 一方、根強い人気なのが自然に還ることを第一に考える「樹木葬」。墓石を立てる代わりに樹木を墓標とし、遺骨を土に埋めるこの方法は、自然との一体感を求める人々に支持されています。多くの場合は合祀という形をとりますが、管理の手間がなく、緑豊かな環境で眠れるという安心感は大きいでしょう。

 こうした散骨や自然葬の普及により、従来の「墓を守らなければならない」というプレッシャーから解放される遺族は多いはず。ネット上でも、

《形が残らなくても、心の中にいれば十分》
《自分が死んだらダイヤモンドになって、娘に持っていてほしい》
《宇宙へ飛んでいくなんて、最高に格好いい最期だと思う》

 といった前向きな意見も聞かれます。

「近年、供養の概念は“管理するもの”から“心の支えにするもの”へとシフト。特にデジタルネイティブ世代やその親世代にとって、物理的な墓石を維持し続けるコストや心理的負担は無視できません。そこで注目されたのが、ダイヤモンド化や宇宙葬といった、形を固定しない、あるいは美しく昇華させる手法です。これらは決して故人を軽んじているわけではなく、むしろ毎日身につけたり空を見上げたりすることで、日常の中に供養を取り込もうとする積極的な姿勢の表れと言えます。これからは、個人の趣味や価値観を反映した、よりパーソナルでクリエイティブな葬送が当たり前になるのではないでしょうか」(冠婚葬祭関連事業者)

 もちろん、これらの供養には注意点もあります。遺骨をダイヤモンドに加工したり散骨したりすれば、二度と元の状態には戻せません。後になって親族間でトラブルにならないよう、生前からの話し合いが不可欠です。しかし、アイドルを応援する「推し活」に情熱を注ぐのと同じ熱量で、自らの終焉をプロデュースする「墓活」に励む人々にとって、葬儀はもはや悲しみの儀式ではないのかもしれません。

戸田蒼(とだ・あおい)
トレンド現象ウォッチャー。
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。