日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が、本サイトで現代の時流を徹底解説。今回、戸田氏が注目するのは、「セルフカット動画」についてです。身だしなみとコスパ、どちらを取りますか?

 帝国データバンクの調査によれば、「美容室」の倒産は、2025年に235件発生。前年の215件を上回り、2年連続で過去最多を更新しました。

 背景には原材料費や光熱費の高騰、人手不足に伴う人件費の上昇などがありますが、それ以上に深刻なのは利用者の節約志向。実質所得の減少により家計の余裕がなくなる中、これまで当たり前のように支払ってきた「身だしなみ投資」を削る男性が増えているようです。名古屋市に本拠を置く「ヘアーサロンIWASAKI」では、平日午後限定ながらカット代金690円という驚きの価格を実現。圧倒的な低価格を武器に、店舗数を全国1000店以上に伸ばしているのがそれを象徴しています。

 また、数週間に一度、数千円を投じて整えていたヘアスタイルを自宅で自らハサミを握って切る人たちも増えているようです。その背景にあるのが、動画投稿サイトにおける「セルフカット動画」。

 YouTubeやTikTokでは、現役の美容師が「本当は教えたくない」などと銘打って、自宅で失敗しない切り方を伝授する動画が数多く投稿されています。中でもメンズに人気の高いショートヘアや刈り上げツーブロックの仕上げをまとめた動画や前髪のセルフカットに特化した動画などは、軒並み100万回再生を突破しています。これは、美容室に通う手間を省いて、その分の浮いたお金を生活費に回したいと考える層が、いかに多いのかという証左ではないでしょうか。