■前田敦子写真集の中身の「拡散」と「収益化」の危うさ

 違法だと認められた場合、どういった罰があるのか。いわゆる“罰金”を払うこともあり得るのか。

「罰金を直ちに支払うことになるとまでは言えません。実際には、削除要請や警告、発信者情報開示、損害賠償請求といった民事対応が先に行われることが多いからです。ただ、悪質な無断スキャンや高画質画像の投稿、営利性のある拡散などが認められれば、刑事事件化する可能性もあります。著作権侵害の罰則は法律上かなり重く、上限だけ見れば高額の罰金もあり得ますが、実際の金額は投稿態様や悪質性、削除対応の有無によって大きく変わります。

 たとえば悪質なケースとしては、写真集の誌面を高画質で複数ページ無断スキャンし、Xに投稿して何千万回規模で閲覧を集め、さらに青バッジ収益化(編集部註:X投稿のインプレッション数や反応に応じてX社から報酬を受け取る仕組み)やアフィリエイトリンク(写真集の購入ページのリンクを貼り付け、そこから購入されると紹介者に報酬が得られる仕組み)で利益を得ようとし、権利者からの削除要請後も投稿を消さず、拡散を続けたような場合などが考えられます。

 こうしたケースでは、単なる『話題の共有』ではなく、違法画像を使って集客や収益化を図ったと見られやすく、かなり重く評価されます」(前出の正木絢生弁護士=以下同)

 実際に罰金刑となった場合、いくら支払う必要があるのだろうか。

「金額は一律に言えませんが、著作権侵害の刑事罰としては、法律上、10年以下の拘禁刑もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方があり得ます。ファスト映画では、インターネット上に動画データを3点違法アップロードした事案について罰金200万円とした事例があります。動画データと画像データという違いはありますが、単純な閲覧数は本件の方が閲覧回数が多く被害の程度も大きいとも考えられるので、罰金の量刑を考える上で参考になるかと思います」

 前述の“青バッジ収益化”が罪に問われるかの争点について聞くと、

「青バッジで収益化しているからといって、直ちにすべてが営利目的と断定されるわけではありません。ただ、無断転載された画像を使ってインプレッションや反応を集め、その結果として広告収益やクリエイター収益の獲得につなげていたのであれば、営利性をうかがわせる事情にはなります。

 ポイントは、青バッジそのものではなく、その投稿が実際に利益獲得の手段として機能していたかどうかです。違法画像を人寄せの材料にして収益を得ていたと見られるなら、単なる便乗拡散より重く評価される可能性があります」

 また、自身の投稿のリプライ欄に写真集の購入URLを貼るアフィリエイトについてはどうか。

「こちらも営利目的と評価される可能性はあります。無断転載された画像で注目を集め、その流れで購入リンクを貼って紹介料や成果報酬を得ようとしている構図と評価されるためです。たとえ結果的に写真集の販売促進につながる面があったとしても、権利者に無断で画像を利用し、そこから利益を得ようとしている点は法的にかなり危ういです。

 特に、元投稿が極めて大きな閲覧数を集めていた場合には、その拡散力を利用して利益を狙ったと受け取られやすく、営利性を裏づける事情としては相当強いと考えられます」