■錦織・吉沢亮も「化ける?」

 本作は、うらめしかった世界が、いつしか、かけがえのない、素晴らしいものに化けていく物語。明治の日本にとって、外国人英語教師・ヘブン(トミー・バストウ)は“新しいもの”だったが、急速に近代化が進むことで、“いらないもの”に「化けて」しまった。そこで怪談という一見、近代化で“いらないもの”になった題材を書き、ヘブンはベストセラー作家に化ける。

 伏線を時間をかけて回収していくのが、本作のおもしろさだ。「化ける」というテーマについては、初回の“丑の刻参り”からの“雨清水トキ”に、“藁人形”からの”ブードゥー人形”。時代が変わって世帯主の司之介(岡部たかし/53)と同じくヘブンがクビになること、半年かけて回収していくという、壮大にして見事な第24週だった。

 ここまで見事に「化ける」を描き切ると、最終週の途中で退場が予想されるヘブンが、なにかに化けて出てきそうな気がしてしまう。死者という“いらないもの”が、素晴らしい幽霊に化けるというわけだ。モデルの小泉八雲が死生観として語っていたのと同様に、ヘブンも死後は「蚊になりたい」と言っていたが、それもありそうだし、ナレーションの蛇と蛙との共演というパターンもありそうだ。

 さらにいえば、第23週で世を去った錦織(吉沢亮/32)も、「化ける」可能性がある。校長になれなかった、つまり化けられなかったのだから、幽霊に化けて出ることで、最後の伏線回収とするかもしれない。トキ(高石)とヘブン、さらに錦織の“ばけばけ”3ショットは、最後にふさわしいはずだが、どうだろう。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。