■毎月数百枚の「免状」に自筆で署名
一方、“絶対王者”ゆえの苦悩を察するのは、本サイトの将棋解説も担当している佐藤義則九段だ。
「藤井さんはデビュー以降の10年間で目覚ましい活躍を見せて、まさに“将棋界の顔”となった。すると、タイトル戦で7番勝負を仮に4勝1敗とかで早めに勝ったとしても、地元に顔を出してよとか、そういう要望が多くなるもの。もちろん人気の証ですが、時間的な余裕というのは、少なくなっていると思います」
各地で行われるイベントや会見への出席など、メディア対応も増加している藤井六冠。さらに、将棋界のトップである竜王、名人を獲得したことで、重要な役割もこなしている。
「将棋連盟が発行する免状は、その当時の将棋連盟会長と、名人、竜王が自筆で署名するんですが、その数は毎月、何百枚というペースです。やはり昔のように、研究一本に絞って、対局に備えるというのは、物理的に難しくなっているのではないでしょうか」(前同)
将棋の研究や対局以外の“仕事”が、藤井六冠の肩にのしかかっているわけだ。
「ただ、どんな大名人でも、こうした境遇が訪れるものです。この時期を乗り越えられるかが、今の藤井さんに課せられた試練なのかもしれません」(同)
台頭するライバルか、復活を期す天才か。将棋界の明日は、どっちだ!?
森 雞二(もり・けいじ)
1946年4月6日生まれ。高知県中村市(現・四万十市)出身。棋士番号100。大友昇門下。棋聖、王位のタイトルを獲得。竜王戦1組通算5期。名人戦A級通算10期。日本将棋連盟理事や常務理事を歴任。2017年に引退。
佐藤義則(さとう・よしのり)
1949年2月17日生まれ。東京都出身。師匠は故・芹沢博文九段。64年6級、70年初段、98年八段。2014年6月18日に引退し、19年4月1日九段に昇段。本サイトの将棋解説も担当。