“日本人の結婚離れ”とでも言えそうな現代。アプリやSNSなどにより “出会い”の手段は格段に増えているが、生涯未婚率は上がる一方だ。昨年7月に厚生労働省がまとめた2024年の国民生活基礎調査を見てみると、日本の世帯人員は平均で2.2人になる。だが人数別でみた世帯数をみると最も多いのは“1人”、つまり単身世帯だ。
24年は全体の35%を占めたという単身世帯。国立社会保障・人口問題研究所は国勢調査ベースで50年にその数は44%まで増えると推計する。こうした社会情勢の中で、「結婚に興味はあるが、現実味がない」と話すのは、都内在住の男性・田口翔太さん(42・仮名)だ。
漫画家を目指す田口さん。専門学校を卒業後、20代の頃は漫画賞に投稿を続け、小さな賞を受賞したこともあるが、プロとしてはなかなか芽が出ないまま、長らく漫画家のアシスタントをして生計を立てている。
「年収は税込みで350万円前後をずっとうろうろしていますね。家賃が8万円で、携帯料金や光熱費、各種サブスクなどが合計3万円ぐらいかな。ギリギリ食べられているので、他の仕事を考えたことはありません。アシスタントだとしても、自分が好きな漫画という業界に携わっていられることが幸せだなと思っているので」(田口さん)
田口さんは恋愛経験がない。37歳の時、3歳年下の弟が結婚したことをきっかけに自身も「結婚」に興味をもち、まずは“お相手探し”と無料のマッチングアプリに登録した。「年収も少ないしどうなのかな」と思った田口さんだったが、7歳年上の女性・土居春香さん(仮名)とマッチングしたという。当時のことを田口さんが振り返る。
「相手は外資系の金融会社に勤めていて、お金には苦労していないようでした。だからこそ、マッチングしたのでしょう。それこそ最初はお茶をして、次のデートの場所をどうしようかという話をしていました。“漫画家を目指しているなんて素敵”と土居さんは言ってくれるので、次回のデートに自分の家を提案したんです。そうしたらやんわり断られて……。その後、何回か食事をしたり、一緒に散歩をしたりしたのですが、今では土居さんとはLINEでやり取りをするだけの仲です」
田口さんは「“交際”とは何たるかがわからなくて……」と言う。
「交際って、どこからが交際なんですかね? 手をつないだり、キスをしたら交際というわけでもないですよね? いろいろ考えたら、結婚したいかどうかもわからなくなってきて……。このままの生活が続くならそれでもいいような気もしているんです。
でも、世間体的には、たとえば未婚率が上がるのが悪いことみたいに報じられたり、いわゆる草食系がネガティブに言われたりするじゃないですか。それこそ、結婚した人のほうが“偉い”みたいなイメージもあるし……。あと個人的には誰かと一緒に暮らせば家計とか、家事とか、ラクになるのかなあとぼんやり考えることもあって。
結婚相手の理想は、僕が養わなくていい人です。別に家事をしてもらいたいとも思わない。一緒に過ごす同士のような存在が欲しいんです。こういう僕でも結婚できますか?」