■見事に計算された菅田将暉の演技

 藤吉郎(池松)と小一郎(仲野)の兄弟チームワークで乗り切ったが、史実では「本圀寺の変」は義昭(尾上)が配下の軍勢で乗り切っているので、かなりの改変といえる。ただ、その義昭は、間もなく信長によって追放されるものの、天下統一後の秀吉とは良好な関係だったと伝わっているので、その伏線を狙ったのだろう。

 また義昭は、三好三人衆らに殺害された兄・義輝に 複雑な感情を持っていたこともあり、豊臣兄弟の絆に惚れ込み、今回は「あの2人、わしのものにできるか?」と光秀(要)につぶやくシーンが。本作は常に兄弟というモチーフが描かれるが、ここにも仕込んでいるとは驚きだ。物語がきれいにハマっていく感じで、八津氏の脚本に称賛の声があがるのも納得できる。

 加えて、松永久秀(竹中)、浅井長政(中島歩/37)、さらに足利義昭(尾上)に明智光秀(要)と、クセの強いメンツが揃ってきて、バトルロイヤルを見ているよう。その中でも、特筆すべきは半兵衛(菅田)で、今回は登場シーンこそ少なく、派手な立ち回りもなかったが、密かに策を練る存在感は抜群。あえての抑えた感じや、一歩ひいた立ち位置が、にぎやかな豊臣兄弟とのチーム感をうまく表現している。

 X上でも、《一緒に石投げはしないが、背後で独り碁をやってたり、一緒に堺には来るが、独り勝手に買い食いしていたり…なんというか「最低限のチーム行動」はしてる辺りのクセ強さが、今回の竹中半兵衛のキャラ造形としてはすごく良いなw》など、豊臣兄弟と連携する半兵衛が称賛されていた。

 よくできた脚本にいい役者がそろった豊臣兄弟。次回は、藤吉郎(池松)と小一郎(仲野)は、信長に連れられて小谷城を訪ね、市(宮崎あおい/40)と再会。浅井長政との娘・茶々の誕生を知って喜ぶが、長政の父・久政(榎木孝明/70)が不穏な動きをするという。本格化する戦国絵巻が楽しみだ。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。