■ロバーツ監督の本音は「走らないでくれ」
ところで、昨季のナ・リーグ盗塁王は“大谷超え”の高給取りでもあるJ・ソト(27/メッツ)の38。
一昨年の59盗塁ですでに『50-50』を達成している大谷になら、容易とも思える数字ではあるが……。
大リーグ評論家の福島良一氏は、この予想にはさすがに渋い顔を見せる。
「故障のリスクを考えても、一昨年のように走るとは、ちょっと考えにくい。彼の走力が持つ価値は、単純な盗塁数だけでなく、それこそ得点数などのトータルで見るべきだと思いますしね」
ただ、大リーグでは今季から本格的に、ABS(自動ボール・ストライク判定システム)。いわゆる“ロボット審判”が導入済み。
そうなれば、見逃し三振に倒れた大谷が首を傾げる場面も多々あった際どい判定が、ボールとなるような場面も、おそらく増す。
四球などでの出塁自体が増加すれば、盗塁を仕掛けやすい局面も、必然的に増えてくるに違いない。
こちらは前出の藪恵壹氏の指摘。
「まぁ、ロバーツ監督とすれば、いくら任せているとはいえ、“走らないでくれ”が本音でしょう。
ただ、走塁時には必ず左足を折ってスライディングする彼は、手をつくとしても利き手ではない左手。今はケガ防止用のスライディングミットもありますから、やってやれないことはないとも思いますけどね」
初めてダブル規定クリアを達成したエンゼルス時代の2022年は、日本ハム時代の15年に並ぶ自己最多タイの15勝を挙げるも、34発でタイトル奪取はならず。
翌23年は44発で初の本塁打王に輝くも、規定投球回には届かず、勝ち星も10勝止まりに終わっている。
「16勝&60発。“シックスティーン-シックスティ”のような成績も彼ならば、ありうる」(前同)
ドジャーブルーに身を包んだ大谷が挑む、移籍後初の二刀流でのフル参戦。
野球の常識の数々を塗り替えてきた男が成し遂げる唯一無二の偉業に、今季もまた胸を躍らせよう。
【前編】「50本塁打200奪三振も夢じゃない」大谷翔平投手サイ・ヤング賞への道とライバルとなる“意外な存在”では、投手としての大谷翔平が狙うのはサイ・ヤング賞。実践登板2回目で5回途中11奪三振という圧巻のピッチングを見せた大谷投手が、今季どんな記録を打ち立てることができるかを徹底検証している。《【前編】はこちらから》
藪恵壹(やぶ・けいいち)
三重県南牟婁郡御浜町出身の元プロ野球選手(投手)・コーチ、解説者・評論家・YouTuber。NPBでは1994年から2004年に阪神タイガース、2010年に東北楽天ゴールデンイーグルスでプレーし、阪神時代の1994年にはセントラル・リーグの新人王を獲得、2003年にはチームのセ・リーグ優勝に貢献した。NPBにおける通算成績は279登板、84勝106敗、防御率3.58。またMLBではオークランド・アスレチックスとサンフランシスコ・ジャイアンツでプレーし、実働2年間で100試合に登板した。
福島良一(ふくしま・よしかず)
スポーツジャーナリスト、メジャーリーグアナリスト。千葉県出身。学習院高等科、中央大学商学部卒業。大学在学中から主としてメジャーリーグの評論・取材を行っている。主な著書に『日本人メジャーリーガー成功の法則 田中将大の挑戦』(双葉社)『もっと知りたい!大谷翔平 SHO-TIME観戦ガイド』(小学館)など。