■悲劇も全力な『豊臣兄弟!』

 表面的には楽しく和気藹々としていたが、寧々(浜辺)の藤吉郎(池松)への愛と、後に側室になる茶々の抱っこを一緒に描き、さらに寧々の「子どもができなかったら」発言。また、秀頼が生まれたことで切り捨てられる、秀次の誕生も合わせるという、視聴者の指摘通り、なんともグロテスクな構成。史実を知るひとたちから、悲鳴のような声が出てもしょうがない。

 しかし、X上ではむしろ、その対比を好意的に受け入れる声が多い。なにも、ここまで1話に集中させなくてもと思うが、わかりやすいといえばわかりやすい。わかりやすく痛快な描写が本作のウリだが、悲劇もまた、ヤリすぎなぐらいヤルのが、エンタメとしては正解なのだ。視聴者もそのことをわかっているし、それだけ制作側を信頼しているのだろう。

 また、秀長(仲野)の正妻となる慶(ちか、吉岡里帆/33)も、明らかに不穏な登場の仕方だった。出自がわからない人物をうまく改変するのも本作の特徴だが、織田家の家臣・安藤守就(田中哲司/60)の娘という時点で怪しい。守就には竹中半兵衛(菅田将暉/33)の妻となる娘がいるので、慶と半兵衛は義兄妹になるのだが、それも、どういじってくるのか楽しみだ。

 次回、小一郎(仲野)は、信長に命じられた慶との縁談を受け入れるが、男と会う姿を目撃されるなど、慶に良からぬ噂が流れる。それは、慶の亡き夫に関係しているようで、さらなる不穏な展開で視聴者をワクワクさせるだろう。徹底したエンタメ路線が魅力な本作、今後も期待できそうだ。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。