日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が本サイトで現代のトレンドを徹底解説。今回、戸田氏が注目したのは、Z世代を中心に進む「検索」離れについてです!
職場や日常のコミュニケーションにおいて、耳慣れない言葉が注目を集めています。「フィンガープリンセス」という言葉をご存じでしょうか。これはもともとネットスラングで、自分で調べればすぐに解決するような事柄であっても、自ら指を動かして検索することをせず、即座に周囲へ答えを求めてしまう人々を指します。
まるでお姫様のように自分では何一つ動かず、周囲がかしづいて情報を差し出すのを待つ姿を皮肉ったものですが、現在この振る舞いが日本のZ世代の間でも顕著な行動特徴として議論の的となっているのです。かつての「ggrks(ググれカス)」という言葉が投げつけられた時代から一変し、現代では検索という行為そのものが、ある種の層にとって「コストの高い重労働」に感じられているのかもしれません。
この現象の背景には、SNSや動画プラットフォームにおけるアルゴリズムの進化が深く関わっています。TikTokやYouTubeショートといった縦型動画サービスでは、ユーザーが能動的に情報を探しに行かなくても、AIが嗜好を先読みして次々と関心のありそうなコンテンツを流し続けます。受け身の姿勢でいても、画面をスワイプするだけで「自分に最適化された答え」が向こうから降ってくる情報環境で育った世代にとって、検索窓にキーワードを打ち込み、複数のサイトを比較検証し、断片的な情報から正解を導き出すプロセスは、極めて非効率で煩わしい作業に映るのではないでしょうか。情報の海を自力で泳ぐ必要がなくなった結果、思考の筋力が低下し、最も手近な検索エンジンとしての「上司や同僚」に頼り切ってしまう。そんな構図が、職場のイライラを増幅させる要因となっています。