相撲界の内情や制度、騒動の行方を、元関脇・貴闘力が現場目線で読み解く。経験者だから語れる、大相撲のリアルが詰まったコラム。
振り返ってみると、3月の春場所は「意義」のある場所だったと思う。
新大関で「綱取り」を期待されていた安青錦が、まさかの大不振! 7勝7敗で千秋楽の横綱・豊昇龍との一番で、勝ち越しがかかることになった。
豊昇龍の優勝はもうないのだから、一昔前なら7勝7敗の力士に星を譲っていただろうに、豊昇龍が掛け投げで勝利。安青錦は、綱取りから一転、カド番に追い込まれた。
14日目だって、そうだ。結びで大関・琴櫻に豊昇龍が負けて、霧島の優勝が決まったが、もし「シナリオ」があるのなら、14日目なんかに優勝が決まらないよ!
それだけ、各力士が「真剣勝負」で臨んでいるから、相撲が面白い。
だから、お客さんも満員だ。オレも知り合いからチケットを頼まれて、古くから付き合いのあるお茶屋から買っているんだけど、何十枚も買えるのは、お客さんが入らない時代から、ずっと買い続けているからだ。
場所前にわざわざ新幹線で大阪に出向いてチケットを買って、知り合いに譲る。「色」なんか付けないで、定価で買ってもらうんだけど、往復新幹線代と宿代を自腹切って、“オレも何をやってるんだろうな?”と思ったりもする(笑)。まあ、相撲を観て喜んでくれる人が増えれば、嬉しいよ。
そして、首の大ケガで序ノ口まで下がっていた、元幕内・炎鵬の十両復帰が決まった。
医者から、「もう相撲は取れない」と言われたのに、不屈の精神でリハビリに励んだ炎鵬。初場所も6連勝して、最後の一番で勝てば十両復帰だったのだが、敗戦。今場所も、7番相撲で負けて5勝2敗。昇進は微妙なところだったけど、なんとか4番手で十両に滑り込んだ。