東京都の家賃価格高騰が止まらない。不動産情報サービスのアットホームが3月25日に発表した2月の東京23区の賃貸マンションの平均募集家賃は、専有面積30平方メートル以下の単身者向けが11万177円と前月比で2.3%の値上がりだった。
こうした状況下で、肩を落としてがっくりとうなだれるのは都内にある大手IT企業に勤める前原香織さん(23・仮名)だ。昨年4月に中国地方にある国立大学を卒業して都内の大手IT企業に入社し、東京生活が始まったという前原さん。入社1年目ですでに額面450万円ほどの給料を受け取り同年代と比較しても高給取りの部類に入る。
上京したばかりの頃は“夢のアーバンライフ”と都内での暮らしに胸を躍らせていた前原さんだが、現実はそんなに甘くはなかったようだ。今回は前原さんのケースを基に、東京の家賃価格上昇を検証する。
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中国地方の地方都市で生まれ育ったという前原さん。学生時代からテレビで放送されていたフジテレビの「月9」ドラマに夢中になっていたとあり、東京へ強い憧れを抱いていたという。そんな前原さんは中国地方でも“ナンバーワン”との呼び声が高い地方国立大学を卒業すると、晴れて都内の大手IT企業へと入社。
入社の決め手となったのは同世代と比較しても高給取りの部類に入る28万円という高額な初任給だったそうだ。手取りは22万円程度というこの給料には固定残業代が25時間分含まれているそうだが、世間一般で見れば十分高待遇である。
入社1年目は、2年目以降の社員は2か月分が支給される夏のボーナスは受け取れなかった前原さんだが、従業員数3000人以上の大手企業に勤めているとあり冬には3か月分の賞与がしっかり付与されたという。23歳ながら高待遇で働く前原さんだが、当人は「大手企業に入社したのに、お金の余裕なんて全然ない」とがっくりと肩を落とす。
現在の前原さんの“お金の悩み”は家賃。前原さんが語る。
「会社は新幹線も止まる品川駅付近にあるのですが、いかんせん地方から上京したばかりなもので、通勤に時間をかけるのは不安で……。それで会社の近くに住もうと思ったんです。入社前に住宅情報サイトで会社がある品川駅から2駅離れた23区内の駅近のマンションを調べてみると家賃が高すぎてびっくり。これではいくらお金があっても足りません」
それでも見知らぬ土地、しかも女性が初めて1人暮らしをするとあり、両親も前原さんのことを心配。多少家賃が高くついたとしてもオートロックが付いた駅近の物件に住むことを薦めてきたという。
「内見に行ったんですけど、今度は部屋が狭くって……。ずっと実家の一軒家で暮らしていたのでマンション暮らしに慣れていないせいか、今度はなかなか納得できる物件に出会えませんでした」
内見を重ねること10件ほど。やっと、新居を羽田空港がある大田区内の駅から徒歩10分ほどの場所に建つ築7年のマンションに決めた前原さん。部屋は4階に位置する20平米台の1LDKだ。綺麗な室内とオートロックが決め手になったというが、その分、家賃は高くついたそうだ。
「家賃は管理費込みで月12万円で、年間で144万円の支出です。年間の給料は額面で約450万円と同世代と比較すると多く貰っている方ですし、家賃補助も毎月1万円もらえるのですが、それでも年金や社会保険料、所得税が差し引かれた手取りは350万円ほど。自分が使えるお金のうち4割以上が家賃で消えてしまう計算です。これでは何のために一生懸命勉強して、有名大学を卒業し大手企業に入社したのか……」
昨年9月に国税庁が発表した民間給与実態統計調査によれば2024年の全国5137万人の平均年収は478万円。入社1年目にして全国の平均年収と同程度の給料を稼ぐ前原さんですら金銭面でのやりくりが苦しいようでは、都内の企業で働く若手サラリーマンはどのように生活すれば良いのか――。
税理士法人アクシア代表社員で、公認会計士・税理士、CFP資格(日本やアメリカなど世界各国・地域で認定されている国際的なファイナンシャル・プランナーの最上位資格)を持つ宮岡秀峰氏に解説してもらった。