街中に新入社員が溢れるこの季節。まっさらなリクルートスーツに身を包んだその姿からは、初々しさが感じられる。そんななか、都内の証券会社で事務職を務める2年目の吉田ゆうかさん(23・仮名)は先輩から伝えられた、ひと言に頭を抱えていた。
それは会社から毎月振り込まれる「お給料の手取り額が減る」という事実だった。今まで、社内で減給処分の対象となるようなミスを犯したこともなければ、勤務態度に問題もなかった吉田さん。そんな彼女はなぜ、入社2年目にして「え、給料が1万円も減るんですか!?」と先輩社員を前に悲鳴にも似た叫び声を上げなければならなかったのか。
今回は専門家の解説とともに、都内でOLとして働く吉田さんのケースを検証する。
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新入社員向けに社内で開催された入社式も終わり、会社員生活2年目に突入した吉田さん。自身が所属している経理部にも新入社員が配属されると知り、仕事にも一段と気合いが入っている。そんな吉田さんは、後輩の入社式後に驚きの事実を入社年次が1つ上の先輩社員から知らされることになる。
「ゆうかちゃん、実は2年目の6月から手取りのお給料が減っちゃうんだよ。私も去年の6月からお給料が減ったせいで気軽にスタバに行けなくなっちゃった」
悲し気な顔でそう話す先輩社員。20代の若手OLにとってスターバックスコーヒーにて期間限定で販売されているフラペチーノを飲むのはなにより尊い行為。それができなくなるなんて……。
会社員人生で初めてとも言うべき“衝撃”に直面し「え、給料が1万円も減るんですか!?」と叫び声を上げた吉田さん。彼女の給料は、なぜ6月から減らされなければならないのか。その原因は税金にあるという。
先輩が真剣な顔で語る。
「今までゆうかちゃんのお給料からは、所得税と健康保険料、厚生年金保険料と雇用保険料が引かれていたと思うんだけど、2年目の6月からは新たに住民税もそこに追加されちゃうんだよね」
住民税とは原則として前年の1月から12月までの所得に対して課税される税金で、毎年6月から翌年の5月までの12か月間で支払う仕組みだ。吉田さんの昨年の年収は月25時間の見込み残業代を含めておよそ350万円、月の手取りは約23万円だ。独身なので住民税の基礎控除額は43万円、前年に支払った健康保険、厚生年金、雇用保険の全額がその年の所得から差し引かれ、所得税や住民税が軽減される社会保険料控除がおよそ50万円となる。
そんな吉田さんが6月から自身が暮らす東京都板橋区へと支払う住民税は月に約1万5000円だ。吉田さんの社歴も1年上がったことでベースとなる給料の額面も月に5000円アップし、年で6万円増えたが、差し引かれる税金の負担額も増えたため、手取りの給料はおよそ1万円減って月22万円となる計算だ。
吉田さんがシーズンごとに発売を心待ちにしているスターバックスで販売される期間限定のフラペチーノはトールサイズで1つ700円ほど。住民税が課税されたことで、吉田さんはスタバ14回分もの金額が毎月の給料から減らされることになるのだ。
給与明細を片手にした先輩から税金に関するレクチャーを細かに受け、目の前が真っ暗になった吉田さん。入社2年目にして手取りの給料が1万円も減ってしまった彼女は、今後どういった点を意識して生活していけば良いのか。
税理士法人アクシア代表社員で、公認会計士・税理士、CFP資格(日本やアメリカなど世界各国・地域で認定されている国際的なファイナンシャル・プランナーの最上位資格)を持つ宮岡秀峰氏が解説する。