■あこがれの職業からブラック職業に転落
欧米では教師1人あたりの生徒は約20人。フィンランドでは授業にアシスタントティーチャーが入り、20人ほどの生徒に対して3~4人の教師が教えるという。
「義務教育がブラックな労働環境だということは事実です。うつ症状になる教師も年々増えており、学校へ行けなくなったり、年度途中で退職してしまうケースもあります」(前同)
かつて、教師は憧れの職業だった。『3年B組金八先生』『GTO』『ごくせん』など、昭和から平成にかけてカリスマ教師の物語が登場した。とはいえ、現実世界の教師たちは、熱意と引き換えに多くの犠牲を払っていたのかもしれない。時代を反映してか、令和ではカリスマ教師の物語が見当たらない。力を増したのは、親たちのほうだ。
「教師に求められるニーズが増えた原因は、親の働き方の変化も影響しています。昔なら一様に会社員として定年まで勤め上げていたのが、起業したり、転職したり、居住地を変えたり、働き方がフレキシブルになっています。それに伴い、親の教育観も多様化しています。一人の教師では、とても対応しきれません」(前同)
こうした事態を受けて、チーム担任制は始まった。業務負担を分散し、みんなで問題に対処する。その効果は、はっきりと現れているようだ。ある公立中学校関係者が話す。
「うちの学校では、超過勤務の理由は保護者対応と部活動が圧倒的に多いんですが、チーム担任制導入後、保護者対応を理由にする超過勤務が明らかに減りました」
一部の小中学校では通知表も廃止されるなど、教師の働き方改革は進んでいる。愛知県の公立中学校に勤める現役教師は、今後導入されるかもしれないチーム担任制について期待を膨らませた。
「慣れは必要でしょうし、一人で担任を持つ醍醐味はなくなりますが、仕事の負担は確実に軽くなります。教師同士でしっかり情報共有すれば、進路指導や家庭訪問も問題なく行えると思うので、メリットは大きいと思います」
ただ、この教師間の連携が、チーム担任制の運命を握っていると前出の親野氏は指摘する。
「教師同士が共通理解を得るには時間がかかります。情報をこまめにシェアして同じ方向を見る必要があるんですが、教師同士の人間関係が合うとは限りません。管理職が現場をあまり把握せずに編成を決めてしまうと、チーム担任制はうまく機能しないでしょう」
大人同士が顔色をうかがっている間に、子供たちの貴重な時間は流れていく。令和の主流になるであろうチーム担任制が問うのは、先に生まれた大人たちの結束力だ。
親野智可等(おやの・ちから)
教育評論家。公立小学校での23年間の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案している。『親の言葉100』『子育て365日』『反抗期まるごと解決BOOK』などベストセラー多数。全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。