■ジャングリアの持つ“欠点” 業績V字回復に必要なものは…
スリル系の乗り物への期待感が高まる一方で、鳥海氏は懸念点も挙げる。ジャングリアのアトラクションに共通し、パーク全体の課題にもなっているという“待ち時間”の長さだ。
「問題はどれだけスムーズに乗れるのか、待ち時間がどうなるのかという点です。開業時の現地取材にも行きましたが、ジャングリアのアトラクションはベルトの装着や器具の装備、注意事項の説明、荷物のロッカー預けなど、安全確保のための工程が多く、ライド時間は10分程でも、トータルでは1時間近くかかるんです。来場者としては、“沖縄まで行ってまで長時間並びたくない”という感覚はやはりあると思います。
絶叫系が加わることで、そのジャンルを好む層を引き寄せる効果は期待できますし、私自身も乗ってみたいとは思いますが、やはりチケット代を払って行く以上、評価されるのは1つのアトラクションではなく、施設全体としての満足度になります」(鳥海氏)
来場者の満足度は、ジャングリアのリピート率や新規顧客の来場動機の低さにもつながっているという鳥海氏。だが、ジャングリアに集客・経営面の不振が叫ばれている背景には、施設そのものの“弱さ”があるというのだ。
「やはり“柱”となるものが弱いのだと思います。ジャングリアはキャラクターで引っ張る施設ではなく、アトラクション中心ですよね。そのため、現状では“1回行けば十分”という声が出やすい。行ってみると楽しい部分はあるのですが、今のコンテンツだけで“ジャングリアでなければいけない”“沖縄でなければ体験できない”と思わせる決定打にはまだ至っていないのではないでしょうか」(前同)
リゾート地である沖縄には、美しい海やドライブ、自然体験など、観光客が求める魅力が数多くある。そのなかで「わざわざ沖縄まで行って、この施設に1日使う価値があるのか?」と問われたとき、現段階ではまだ弱い、というわけだ。
では、今後巻き返していくには何が必要なのか。鳥海氏いわく、先述した“キャラクター”がカギを握るという──。
「まずは新しいアトラクションやイベントを継続的に投入していくことですが、それに加えて、やはり強いキャラクターが必要だと思います。外部の有名キャラクターとのコラボでもいいので、東京ディズニーリゾートやユニバーサル・スタジオ・ジャパンのように、『そのキャラクターに会いに行ける』『そこでしか体験できない』と思わせる要素がないと、今のままでは厳しいのではないでしょうか。ジャングリアにも独自キャラクターはいるようですが、現状ではほとんど機能していない印象です」(同)
また、あるテーマパーク業界関係者はジャングリアの現状について、「正直、かなり厳しい状況だと思います。資金繰りや余力がどの程度あるのかは外からは見えませんが、銀行の融資も含めて、大変なことになる可能性はあると思います。今年が踏ん張りどころでしょう」とも語っている。
『やんばるトルネード』はこうした状況を一変させる反撃の狼煙となるのか。それとも、建て直しにはなお時間を要するのか……。
鳥海高太朗(とりうみ・こうたろう)
航空・旅行アナリスト。1978年、千葉県富津市生まれ。Yahoo!ニュースエキスパート。帝京大学理工学部、千葉商科大学サービス創造学部、共栄大学国際経営学部非常勤講師として、大学で講義を行いながら、テレビ・ラジオなどでの解説も行っている。