コロナ禍で全世代の外食離れが進んだ後、追い打ちをかけるような昨今の物価高。以前から“若者の職場飲み離れ”が指摘されていたが、経費の締め付けも厳しくなった今、たとえ数千円であったとしても職場の飲み会には身銭を払いたくないという若者は珍しくない。
食品メーカーに勤める立花香苗さん(30代・仮名)が、自身が働く部署内で「毎月親睦会費を徴収されている」ことに疑問を呈する。
「毎月、20代は2000円、30代以上は3000円、管理職は5000円という形で親睦会費が徴収されるんです。毎月一回、親睦会と称して飲み会やBBQが開催されるのですが、それに使われるお金です。部署は20人ぐらいで、30代がメイン。毎月10万円ほどの積立ができていることになり、だいたい一人5000円~6000円の予算で、居酒屋の飲み会コースに行くことが多いですが、正直嫌ですね。だったら友人とサイゼリヤに行ったほうがコスパが良い。1人3000円もかからないですからね」
金融機関勤務の田島裕人さん(30代・仮名)も、「職場の飲み会に払うお金はない」とバッサリだ。
「年齢によって飲み会の際に支払う金額は多少違いますが、職場の飲み会に払うお金はありません。会社持ちだとしても、よっぽど高価なレストランとかならともかく、それ以外で、業務外にわざわざ職場の人たちと飲みたくないですね。
先日、新しく入った管理職がいるからというので断りきれず、しぶしぶ職場の飲み会に顔を出したら居酒屋で一人6000円もかかりました。別に新しい人が入っても、昼間、職場でコミュニケーション取れば充分じゃないですか。話しているなかで、この人と飲みたいなと思えば飲みに行けばいいだけの話で、飲み会でしかできない話なんて別に聞きたくないです。しかも、大体そういう人に限って”酒の席の話は全部忘れろ”とか言い出すわけですよ。忘れていい話だったら言うなっていう(笑)」
田島さんに同調するのは、4月に新入社員として社会人デビューを果たしたばかりだという丸山隆司さん(20代・仮名)である。
「自腹で6000円払う飲み会とか無駄じゃないですか。大体、仕事をするために会社に入ったわけであって、飲み会をするにしても、勤務時間内にしてほしい。少しはお金を出せ? そんなの嫌に決まってるじゃないですか。だったら趣味とか、NISAにでもお金を回したいです」
外食に使うお金を対人関係への「投資」と考え、関係性がどこまで深まるか、自分の幸福度が増すかを判断し、費用対効果の高いものだけに参加する概念を若者の間ではフレンドフレーションと呼ぶそうだ。当然、“投資”なのでリターンの見えない飲み会の参加費に回す余裕はない。1円たりとも損をしたくないと考えるのだ。
一方で、「酒の席を設けでもしないと、若手と話すこともできない」と頭を抱えているのは中間管理職の原田博さん(40代・仮名)だ。「タダでも行きたくない」という若者と、「飲み会こそが親睦の場」と考える管理職の間にあるギャップはどうしたら埋まるのか。専門家に話を聞いた。