■酒とお金が絡む会社イベントは忌避されやすい
千葉商科大学基盤教育機構教授で、働き方評論家の常見陽平氏は、「前提として、どの世代でも会社のイベントを忌避する層は一定数いる」と話す。なかでも忌避されやすいのは「酒とお金が絡むもの」だという。
「たとえば、全社の方針発表とか、社長賞発表のようなキックオフ的な場であれば、行かない選択肢はあまりない。同じ組織で働く者同士が協力して目標を達しようとするにあたっては、“想い”を共有することも必要になりますが、その際、“個々人の価値観を知っておいたほうがベターで、手っ取り早く距離感を縮められるのが飲み会”だとされてきました。
だけど、そもそも若者が飲まなくなってきた。というよりも、“飲まない”という価値観、選択肢がやっと受け入れられてきた。加えて、必要以上に会社に自分をさらけ出したくない人が増えてきました。
ただでさえ物価高なのに、嫌なものにお金を出してまで、何かを得ようとは思わないのが“令和の考え方”ですよね。不安定な時代に、お金、時間、心身の負担は避けたい。何か食べるときも食べログの評価などをもとに事前に念入りに調べるのが当たり前。美味しいとわかっているものにだけお金を払いたいという時代なんです」(常見氏=以下同)
ならば、飲み会代が会社持ちや、先輩の奢りならまだ許容範囲なのか。
「それでも不満は出るでしょうね。会社持ちだと、じゃあその金は給料としてほしいという不満になる。また、奢りだと、今度は社内で“貸し借り”が出てきますよね。いずれにせよ、今の若者は職場の都合に自分の人生を左右されたくないわけですね」
では、「飲み会」に参加したくない若者と管理職はどのように接すればいいのか?
「当然ですが、強制はナンセンスです。会社での管理職という立場のもと、若手に参加してもらうのですから、彼ら・彼女らに負担をかけず、楽しんでもらう仕組みを設計する必要はあるでしょう。
たとえば飲みではなく、ランチ会、茶話会、会議の延長の雑談会など新しい交流方法を考えてもいいと思います。親睦の押し付けは、親睦ではないということだけは覚えておきたいところです」
令和になり社内のコミュニケーションの取り方にも変化が起きている。
常見陽平
1974年生まれ.北海道札幌市出身.一橋大学商学部卒.同大学大学院社会学研究科修士課程修了.リクルート,バンダイ,ベンチャー企業,フリーランス活動を経て、現在、千葉商科大学基盤教育機構教授,評論家
主著─『日本の就活』(岩波新書)『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社新書)『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞出版)『50代上等!──理不尽なことは「週刊少年ジャンプ」から学んだ』(平凡社新書)など