ピカピカの1年生が、自分の体ほどもある大きなランドセルを背負いながら校門をくぐる──。この時期ならではの微笑ましい光景だが、その裏では“ラン活”と呼ばれる親たちの熾烈な情報戦が繰り広げられていた。

「昭和の頃のように入学直前にデパートに行き、そこに置いてあるものの中から選ぶという時代ではなくなったんです」

 そう語るのは育児・教育に関する取材を重ね、自身も一児の母であるライターの池守りぜね氏。ラン活戦線は“年長に進級した春”にはすでに火蓋が切られる。それどころか、メーカーによっては年中の11月から受注可能にしているところもあるという。かつてはお盆休みに帰省した際に祖父母に買ってもらうのがランドセル購入の定番だったが、それでは完全に手遅れというのが令和の新常識になっているのだ。

「夏休みを迎える頃には、人気のデザインや限定色は軒並み“完売”の札が並びます。今はネットでチェックして、“このシリーズの、この色、この装飾”と細かく決めてから探す家庭が多いですね。特に女の子向けは本当に種類が豊富なので、迷っているうちに人気商品はなくなることもあるんです」(池守氏=以下同)

 色に関しては“男子は黒、女子は赤”と相場は決まっていたものだが、令和のランドセル売り場は紫、ラベンダー、水色、ミント、キャメル、グレー、さらには刺繍入り、グラデーション、姫系デザインまで百花繚乱。多様性を重視する時代を反映してか、男女の区別なく様々な色が選ばれている。

「親としては“本人の意思を尊重したい”という思いと、“高学年になったら飽きてしまわないだろうか? という不安の間で激しく揺れ動くことになります。女の子の場合も、低学年が好むようなキラキラしたプリンセス系を欲しがる子に対し、親は“5~6年生になったら、かわいらしいデザインは恥ずかしくなるよ”と落ち着いた色へと誘導するケースも聞きます。子供と一緒に買い物に来たつもりが、高額なために親の意見も押し付けてしまうことで迷ってしまう家庭もあるのではないでしょうか」