■メーカーによっては10万円を超えるものも…
いずれにせよ、こうした異常なまでの早期化と多様化がラン活中の保護者たちを精神的に疲弊させているのは間違いないだろう。そして経済的にもランドセル購入が家計への大きな負担となるケースが目立つ。ランドセルの平均価格は2015年までは4万円前後といわれていたが、2025年は6万円台まで上昇している。
「近年、人気が高まっているのが“工房系”と呼ばれる高品質なメーカー。130年の歴史を誇る黒川鞄工房や丁寧な製法が評判の土屋鞄製造所がその代表格で、展示会やオンラインショップなど独自のルートで販売を行っているのが特徴です。工房系を狙う親たちは1年以上前から展示会を回るケースも多いです。価格帯は牛革を使ったモデルが7万円前後で、高級皮革のコードバンを使ったものは12万円を超えることもあります」
その他、有名ブランドとのコラボ商品も支持を集めている。
「mezzo piano(メゾピアノ)やANNA SUI mini(アナスイミニ)など高級ブランドは、大手メーカーよりもデザイン性が優れている印象です。女子の親子から人気ですが、工房系同様に値段は10万円近くするものも多いですね」
いやはや、たかが子供用の通学カバンにそこまでする必要があるのか? そうあきれている人も多いのではないか。実際、このようにラン活が過熱化する一方で、「ランドセルなんて背負えれば同じ」と開き直っている親も多いという。
「二極化しているようです。たしかにショッピングモールやアウトレット、あるいはネット通販を使えば2~3万円でも十分に品質のいいランドセルが買えます。特に、シンプルな黒いランドセルは、素人目では数万円の差には気づかないでしょう。それでも高級品にこだわる親がいるのは、長く使う物に対するこだわりもあると思いますし、自己満足といえる部分もあるかもしれません」
この“見栄”をさらに助長させているのがSNSの存在だ。インスタグラムを覗くと「#ラン活」のハッシュタグとともに、おしゃれなショールームでランドセルを背負うわが子の写真が溢れ返っている。
「そして問題をさらに複雑にさせるのが祖父母の存在です。お金も出してくれるけど、口も出してくる。これが一番厄介なんです。祖父母世代からすれば“そんな派手な色でいじめられたりしないだろうか?”とか“もっと丈夫そうなものにしたほうが良いのでは”と不安になるようです。でも、今のトレンドをリアルに知っているのは母親のほう。場合によっては義実家との間で “ラン活紛争”が勃発するケースもあります。最初から“お金は出してもらっても、決定権は自分たちが持つ”と線を引いておくのが解決策と言えます」
たかがランドセル、されどランドセル。6年間背負う“相棒”選びは、子供の成長と家族の価値観がぶつかり合う最初の大イベントなのかもしれない。