「これを履かないとリレーの選手に選ばれない」

 小学生の間で、そうまことしやかに囁かれる定番スニーカー「瞬足」。

「瞬足は“左右非対称”のソール構造によって“左回りのコーナリングに強くなる”点が最大の特徴。そもそも日本の校庭やトラックはほとんどが左回りのため、瞬足の優位性が運動会や体力測定などで発揮されてきたという経緯があります」(ネットニュース編集者)

 瞬足が誕生してから23年。現在までに累計8400万足を販売し、少子化の中にあっても年間で約200万足が売れているという大ヒット商品。単純計算すると小学生の3人に1人が履いていることになる。

 そんな子供向けのスニーカーとして大人気のブランドの「瞬足」が今、大人の間でもじわじわ信奉者を増やしているのだという。

「“軽いから通勤で疲れない”“ジョギングシューズとしても優秀”“コスパが最高”といった角度から“瞬足を子供だけのものにしておくのはもったいない”という意見が広まったものと予想されます」(前同)

 はたして、この潜在需要をメーカー側はどう受け止めているのか?

 そこで本サイトが「瞬足」を製造するメーカーのアキレスを直撃してみると、

「そうしたニーズがあることは認識しています」

 アキレス株式会社マーケティング課の渡邉岳慶氏は、そう静かに頷いた。なんでも、《瞬足 大人用》といった検索ワードで公式ホームページにたどりつくケースも多いのだそうだ。

 だが、そうは言っても、アキレスでは現時点で、大人向けのラインナップは展開していないのだという。それにもかかわらず、“大人用瞬足”が大人の間で密かな人気になっているのはなぜなのだろうか。

「27cmなど大きめのサイズを大人が履いているのが実態ではないかと思います。ただ社内では、さまざまな企画開発を進めているので、近い将来に弊社から大人向けの新商品を出す可能性はありますね。10年ほど前になりますが、実際に大人向けシリーズを発売していたくらいですから」(アキレス株式会社マーケティング課・渡邊氏=以下同)

 この『大人の瞬足「絆」シリーズ』は、運動会で子供と一緒に走る大人のために作られたもの。大人の体重やスピードに対応するためにグリップ性能をアップさせ、ソールを薄めにして安定感のある低重心設計にしたものだった。

 昔から運動会では大人が子供と一緒になって競争する機会がある。そこで走り慣れていないお父さんが転んでしまうという悲劇が全国で続出。「大人にも“コーナーで差をつけろ!”を実感させてほしい」という声に後押しされる形で開発されたそうだ。

 現在は『「絆」シリーズ』の販売はされていないが、大人が「瞬足」を履くメリットも十分にあるという。

「大人が瞬足を履く最大のメリットは、やはり“軽さ”という点になるでしょうね。それと同時に我々が注力しているのは“安全性”なんですよ。素材の耐久性であったり、グリップがしっかり利くかという点だったり、子供の足を守るための設計を第一に考えていますから。実際、転倒リスクを減らす構造は高齢者とも親和性が高く、“軽くて安心”という理由で祖父母世代の方に履いていただけるケースも多いんです」