■ランニング特化の靴じゃない

 ランニング用シューズとして「瞬足」を使用する大人も多いが、渡邉氏によると「瞬足は決して短距離に特化した靴ではない」のだという。

「基本的に瞬足は子供の通学シーン全般を想定して作られているんです。毎日の登下校だったり、お休みの日に歩き回ったり、そうした日常生活全般で活躍できるような設計になっておりますので、日常使いの延長であれば大人が普段から使うのにまったく問題ないと思います。もちろん通勤にも適しているはずですし」

 これに加えて、“ファッション性”も現在の親世代から注目されるポイントらしい。「たまごっち」「シール集め」「フィルムカメラ」などの“平成リバイバル”が注目されるようになって久しいが、その文脈と同様、「やっぱり瞬足はイケてる」と再発見されているようだ。

「昔は“ギラギラした子供用のデザインだから、大人になって履くのは恥ずかしい”といった感覚も強かったと思います。でも、今の親世代は自分自身も瞬足を履いていた経験がありますから。そういった抵抗感が減っているのかもしれません」

 当時小学生だった子供も今では30歳前後。「瞬足」は現在の小学生の親世代にもなじみのあるブランドなのだ。

 また瞬足は男子の専売特許というわけではなく、女子からも広く支持を集めている点も見逃せない。

「ここ数年はキッズウエアで人気のセレクトショップ『ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング』など、アパレルやセレクトショップとコラボした商品も人気です。やっぱり運動靴以外の企業さんと一緒に商品開発すると、我々の社内からは出ないご提案をいただけることも多いんですね。その結果、“かわいい”“オシャレ”といった声を女性のお客様からいただけることも増えたので、より広がりが出たと思います」

 子供たちの必須アイテムだった瞬足が、老若男女から愛されるようになる日も近い!?

瞬足(しゅんそく)
2003年発売開始のジュニア向けランニングシューズ。ソール部を左右非対称とし、左回りのトラックコースを走りやすいように「右足のインサイド」「左足のアウトサイド」にそれぞれスパイク状のグリップを装着。09年には年間650万足を販売するヒット商品となり、10年には小学館から公式ガイドブックも発売された。シューズのほか、伊藤忠商事とパートナー契約を結び「瞬足」ブランドで文房具などの商品も展開。14年には『瞬足 めざせ!全国最強ランナー』のタイトルでゲームソフト化もされている。「日本ネーミング大賞2025」一般部門・優秀賞を受賞。