日本競馬界のレジェンド・武豊が名勝負の舞台裏を明かすコラム。4月19日の皐月賞ではロードフィレールに騎乗予定の、彼のここでしか読めない勝負師の哲学に迫ろう。

(以下の内容は2026年4月13日に寄稿されたものです)

 そこに100人の人がいれば、100通りの生き方、100通りの個性があるように、馬も1頭1頭みんな違います。

 怖がりの馬、臆病な馬、暴れん坊の馬もいれば、お坊っちゃんタイプ、女王様気質の馬もいます。

「素直で乗りやすい馬と、気難しいけど走る馬、どっちを選びますか?」

 トークショーでよく聞かれる質問です。

 癖のある馬で勝つのも嬉しいし、あらゆることに対応できる馬で、自分がやりたいレースをして勝つのも嬉しい。その中で僕が1頭、選ぶとしたら勝てる馬です(笑)。

「乗りやすかった馬と、気難しくて乗りにくかった馬を教えてください」

 こんな質問をされることもあります。

 乗りやすくて強かった馬は、オグリキャップとヴァーミリアン。この2頭は、自由自在ですごく乗りやすかったですね。

 反対に乗りにくいけど強かった馬は、両手の指では足りないほどたくさんいます。サイレンススズカ、イナリワン、キタサンブラック……。

 中でも、めちゃめちゃ乗りにくくて、めちゃめちゃ強かったのが、ディープインパクトです。

 4月5日、GI大阪杯でコンビを組んだメイショウタバルも、乗りにくさにかけては引けをとりません。

 昨年の宝塚記念のように、勝つときは、文句のつけようのないレースをしてくれるのに、激しい気性が前面に出てしまうと、呆気ないほどもろいレースをしてしまう。もしも、話ができるなら「今、何を考えてる?」と聞きたいくらい(笑)。