ぽっちゃり体型の少年が、わずか10か月で別人のような肉体を手に入れた——。アメリカ・テキサス州に住む16歳の高校生ザイド・ライラが行ったのは、常識外れの選択だ。現地の事情に詳しい在米ジャーナリストが話す。
「少年はもともと自分の体型に強いコンプレックスを感じていたそうです。
SNSで見た筋肉質な体に影響を受け、短期間で変わりたいという思いから筋肉増強剤のステロイドに手を出したと話しています」
少年が使用したのは「トレンボロン」と呼ばれるステロイド。問題はそれが違法薬物というだけではない。なんと、牛や豚などに使用される”家畜用”ステロイドだというのだ。少年は、トレーニングに励みながら約10か月間家畜用ステロイドを使用したという。その結果、筋肉量が大幅に増加し、見た目は劇的に変化した。誰もが羨むようなギリシャ彫刻のような肉体を手にした少年だが、代償もある。
「10年かけるより1年で変わりたい。“30歳で心臓発作になってもいい”が本人の信条だそうです」(前同)
アメリカでは、SNSを中心に「見た目を最大化する」という価値観が若者の間で広がっているという。命を犠牲にしてでも、肉体美を手にしようという少年の“選択”にNPO法人医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師は、強い懸念を示す。
「家畜用ステロイドを人間が使うなんて、常軌を逸しているとしか思えません」
過去の歴史を振り返ってみると、その異常さが鮮明になる。
「80年代から90年代にかけて、メジャーリーグではステロイドの使用が全盛でした。金と名誉のためなら何でもありだった時代です。家畜用ステロイドに効果があるのなら、あのときすでに使われていたはず。五輪でのメダル獲得に心血を注いでいた旧ソ連や東ドイツの選手ですら、ドーピングとして家畜用のステロイドを使用していたという例は聞いたことがありません」(前同)
こうして聞けば、いかに家畜用ステロイドが危険かは想像がつくだろう。なぜ少年は、人間用のステロイドを使わなかったのか。上医師はこう予測する。
「家畜用は多分安く入手できたからでしょう。人間用のものは処方箋が必要ですから、入手するのがそもそも困難なのだと思います」