■肝臓や心臓へと与えるダメージも大きいステロイド

 ステロイドにはいくつか種類があるという。リウマチなどの治療に使われる『副腎皮質ステロイド』と、筋肉増強作用を持つ男性ホルモン系の『アナボリックステロイド』だ。

「アナボリックステロイドは、筋肉の病気や、更年期障害による男性ホルモン低下といった症状に処方される薬です。また、男性ホルモンが落ちると意欲や活力がすごく下がるという説もあります。アメリカのビジネスマンには、決断力維持のために少量のステロイドを使う人もいます」(前出の上医師)

 アメリカではテストステロンの処方箋が年間1100万件にのぼり、市場規模は約19億ドルに達する。”プチドーピング”とも言える使用は、日常的に行われている。しかし、アスリートが自身の筋肉を意図的に強化する“ドーピング目的”ともなれば、ステロイドの使用量は桁違いとなる。

「ドーピング目的でステロイドを使用する人は1週間に1~2回、200ミリから600ミリを使用すると言われています。更年期障害の治療では1~2週間に1回、60から125ミリの使用なので、約10倍の量です」(同)

 ステロイドで得た筋肉は、常識を超えた変化をもたらす。だが、その代償は決して軽くない。

「大量のステロイドは、肝臓と心臓へ大きなダメージを与えます。また、種類を問わず全身にガンを引き起こす可能性があります」(同)

 事実、筋肉の大きさを競うボディビルの世界では、若くして命を落とす選手が後を絶たない。そのたびにステロイドとの関連が疑われてきた。今回のケースは、さらに危険な領域に踏み込んでいる。

「家畜は人間よりも体重が重い。そのため家畜用ステロイドはホルモン量が自然と多くなり、ドーピング目的での摂取量以上を体内に取り入れる危険性があります」(同)

 当然のことながら、人体への影響も検証されていない。

「家畜用ステロイドは毒作用が出てもいいという前提で強力なホルモンを使っています。肝臓への毒性や血栓のリスクなど、人間用以上に強く影響が出る可能性があります」(同)

 体型の変化を披露した少年のSNSには、4万人以上のフォロワーがいる。彼は、現在の姿をステロイドとトレーニングのおかげだと話す。だが、体を維持するにはステロイドを打ち続けなければならない。この先、彼の体はその負担に耐え続けることができるのだろうか。少なくとも彼に憧れ真似をするような少年が現れないことを願うばかりだ。