■「“ハラスメント”と思われる可能性はありうる」専門家の解説
働き方評論家で、千葉商科大学基盤教育機構教授の常見陽平氏は、この“職場の花見の場所取り問題”について、「“業務”かどうかは、自主的なものなのか会社の命なのかにもよる」としたうえで、「会社の命で、かつ勤務時間内の場所取りになるようであれば“業務”という解釈にはなる」とする。
「場所取りをしている時間、身体が拘束されるようであれば他の仕事が思うようにできなくなる。しかも業務時間外にまで及ぶようなら残業代を要求したくもなるでしょう。くわえて、花見は桜が咲く時期がなかなか読みにくい。
事前に予約できる店舗での宴会とも異なり、自然や天候に左右されるため“今日行こう”と急に決まるなど、身体的だけでなく精神的な負担感が大きいものです。つまり、不確定要素が多くそもそも厄介なものなんですよね。さらに、職場の人たちとはそれほど親睦を深めたくない、という人にとっては大きな負担。“ハラスメント”と思われる可能性はありうると思います」
それでなくても、花見は負荷が大きい。
「居酒屋での飲み会はお店の人が片付けてくれますが、バーベキューと同じで花見は自分たちですべて用意、あるいは手配しなくてはならない。飲食物をはじめ、紙コップや皿、ウェットティッシュ、割り箸など諸々の準備が必要です。当然、片付けも自分たちでしなくてはいけません。
しかも地面に敷いたシートの上に車座ともなると、椅子に座っている飲み会よりも身体的な距離が近くなり、酔っ払いトラブルやセクハラも引き起こしやすいでしょう。
昔は職場開催の花見は大事な会社への帰属意識を共有する場だったかもしれませんが、今は嫌がられても仕方がない。花見への参加や場所取りなど幹事を強要した場合、パワハラとなりうることもあると思います」
働き方が見直されている令和の時代、職場の慣習も見直す必要があるのかもしれない。
1974年生まれ.北海道札幌市出身.一橋大学商学部卒.同大学大学院社会学研究科修士課程修了.リクルート,バンダイ,ベンチャー企業,フリーランス活動を経て、現在、千葉商科大学基盤教育機構教授,評論家
主著─『日本の就活』(岩波新書)『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社新書)『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞出版)『50代上等!──理不尽なことは「週刊少年ジャンプ」から学んだ』(平凡社新書)など