朝の満員電車ではピカピカのスーツに身を包む若者の姿が目立つ4月。輝かしい未来に期待を膨らませる新社会人がいる一方、水面下では転職活動に勤しむ社員も後を絶たない。
「マイナビの『転職動向調査2026年版(2025年実績)速報』によると、全国の正社員で働く20~50代の男女2万人のうち、転職率は7.6%と過去最高水準。最低賃金の引上げ額が過去最高となったこともあり、キャリアを見直す人が増えているようです」(全国紙経済部記者)
その中でも20~30代の若手社員における転職理由は、他の世代と違った独特なもの。職場の人間関係、給与、休日に不足ないという、いわゆる“ホワイト企業”でも、離職に歯止めが利かないというのだ。本サイト記者の周囲でも、下記のように20代後半で5~6年勤めた会社に見切りをつけるべきか悩む人が少なくない。
「毎日が決まりきった同じ業務で、この仕事を何十年も続けていく自分の姿が想像できないんです。仕事帰りの電車では転職サイトを眺める日々です」(27歳女性・事務)
「上司も先輩も良い人で業務も苦痛ではない。ただ、このままぬるま湯で過ごして、数十年後に他社で通用しない人間になるのが不安です。だから一念発起して“転活”を始めました」(26歳男性・営業)
つまりは、ハラスメントなどで心身をすり減らすような悪い会社ではない。でも積極的に働き続けたいとも思えない――。このような違和感を抱かせる企業を『パープル企業』と呼称しているという。
「パープル企業という概念が広まったのはここ2〜3年。この背景には、若者の価値観の変化があると考えています」
そう話すのは、神奈川大学人間科学部教授の心理学者であり、1級キャリアコンサルティング技能士でもある杉山崇氏。
ホワイトとブラックの間といえば『グレー企業』ではと思ってしまうが――。パープル企業はまったくの別物だと、杉山氏は説明する。
「グレー企業とはブラック企業をベースに、労務面は法令に適合するよう調整された会社。いわば企業側が意図してホワイト企業を装ったものですが、一方、パープル企業とは、体質的にはホワイト企業。その中でも、社員個人が“ブラック”な感情を抱かせる状態を指します」
では、なぜパープル(紫)なのか?
「もともとは、経済学者の太田肇氏が“レッド(危険な状態)に近い”という意味で名付けた言葉のようなんですが、私は“パープル”というより“マーブル”という言葉が近いのではないかと思っています。黒と白が混ざりきらず、悪い部分と良い部分が共存しているイメージです」(以下のコメント、すべて杉山氏)