日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が本サイトで現代のトレンドを徹底解説。今回は、教育現場で広がったタブレット端末の問題点に注目した。
日本の教育現場が大きな岐路に立たされています。コロナ禍を機に加速したGIGAスクール構想により、小中学生に1人1台のタブレット端末が配布されて数年。この構想は、高速通信ネットワークや端末整備といったICT環境、すなわち情報通信技術を活用するためのインフラを整え、児童生徒に個別最適化された創造性を育む教育を実現することを目的として国が打ち出したものです。
しかし、“デジタル化こそが正義”とされた風潮に今、世界規模で待ったがかかっています。特に教育先進国として知られるスウェーデンでは、2023年から紙の教科書や手書き中心の授業へ大きく舵を切りました。フィンランドやフランス、イギリス、オーストラリアでも、低学年を中心にアナログ回帰の動きが加速。デジタル教育の欠陥が、次々と露呈しているのが現状です。
なぜ、世界はタブレットを置こうとしているのでしょうか。最大の懸念は、子供たちの学力や読解力の低下にあります。デジタル教材への過度な依存は、文章を深く読み解く力を奪い、集中力を著しく低下させることが国際的な調査でも報告されました。画面上の文字は情報の定着が浅くなりやすく、思考が上滑りしてしまう。さらに、アプリや通知といった誘惑が絶えない端末は“ながら学習”を助長し、学びの質を根本から損なわせているようです。