■堂安律の頼もしさと藤田が描く成長曲線

 特に藤田選手は私が東京ヴェルディTDを務めていた頃の有望な若手。もともと、うまい選手でした。ボール出しに関しては日本トップレベルだと感じています。

 パリ五輪ではキャプテンを務めましたが、メンタルも強く、声も出せる人間です。ブラジルのスカウティング関係者も「あの選手はうまいですね」と一目置いていましたが、あれから2年間で、さらに存在感、怖さを増しています。最近は所属のザンクトパウリで2列目も担っているようですが、理想的な成長曲線を描いていると思います。

 スコットランド戦は彼と田中碧選手が先発コンビを組み、いい仕事を見せました。ボランチには、それ以外にも鎌田大地・佐野海舟両選手、ケガで離脱している遠藤航選手がいて、選手層の厚さが印象的です。森保一監督が彼らをうまく使っていくことが、W杯本番のポイントになるでしょう。

 この試合で一つ、絶対に忘れてはいけないのが、開始早々の9分に相手エース、マクトミネイ選手の決定的シュートを左手1本で止めた鈴木彩艶選手の存在です。あのスーパーセーブがなかったら日本は負けていたかもしれなかった。日本を救った正守護神の完全復活を嬉しく思いました。

 そして0-0で迎えた後半。日本は三笘薫選手、堂安律選手といった主力を投入して、伊東純也選手が決勝ゴールを挙げました。

 そこで私が感じたのは、堂安選手の成長です。彼はシャドウに入って、スペースを埋めたり、ボールを出した後にまた、もらいにいくなど、やるべきことを確実にこなしていました。英国遠征のキャプテンを任され、「自分がやるんだ」という責任感も強かった。本当に頼もしかったですし、本大会に向けてより一層、期待感が高まりました。

ラモス瑠偉(らもす・るい)
1957年2月9日生まれ。ブラジルのリオ・デ・ジャネイロ出身。77年に来日し、読売サッカークラブ(東京ヴェルディの前身)でプレー。攻撃の核として5度の日本リーグ優勝に貢献し、得点王を2回、アシスト王を3回獲得した。93年にスタートしたJリーグでもヴェルディ川崎の中心選手として活躍。チームを初代王者、さらに連覇に導くとともに、自身は2年連続でベストイレブンに選出されるなど、Jリーグの草創期を支えた。89年に日本に帰化して日本代表でもプレー。司令塔としてアジアカップ初優勝をもたらし、94年W杯予選でもチームをけん引したが、あと一歩というところで本大会の出場権を逃した。98年に現役引退。指導者としては古巣の東京VとFC岐阜で指揮を執り、ビーチサッカー日本代表の監督としてW杯で世界を凌駕する活躍を見せた。国際Aマッチ通算32試合1得点。2018年、日本サッカー殿堂入り。
ラモス瑠偉公式サイト:http://www.ramos.jp/
(本連載取材協力:KAKU SPORTS OFFICE)