■『ちむどんどん』との残念な共通点
低調の原因はいろいろあるだろうが、まずは展開が早すぎること。そのためエピソードそれぞれの描写が薄くなり、深みがない。また、そのエピソードも結論ありきで過程をはしょってくるから、しっくり収まらず、居心地が悪い。りん(見上)と卯三郎(坂東)が町のベンチで偶然、会ったり、直美(上坂)が捨松(多部)の馬車の前に飛び出し、いきなり鹿鳴館で働きだすなど……。見ていて釈然としないのだ。
また、ヒロイン2人が迷走気味なことも。結婚したがっていたりんは、いきなり仕事にやる気を見せているし、世を恨んでいた直美(上坂)は、のし上がるために鹿鳴館で結婚相手をあさり始める。彼女たちの行動が次のなににつながるのか、見えてこないので、応援する気になれない。ヒロイン以外も全員、ふわふわしていて、行動が明確なのは捨松ぐらいだろう。
この「誰も応援する気になれない」感じは、どうしても22年前期朝ドラ『ちむどんどん』を思い出してしまう。こちらも最初は問題行動を繰り返す、“ニーニー”こと賢秀(竜星涼/33)だけ嫌われていたが、ヒロイン・暢子(黒島結菜/29)をはじめ、ほかの登場人物も不可解な行動を取り始め、みんな嫌われてしまった。
本作は、看護師養成学校編が始まれば、描写もキャラの行動も変わるだろうか。次週でりん(見上)と直美(上坂)が、捨松(多部)からトレインドナースにならないかと勧誘されるが、そこからに注目だ。当時の朝ドラの最低記録を更新するなど、失敗に終わった『ちむどんどん』のようにならなければいいのだが……。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。