■一般家庭へ広がり始める「ハイテクベッド」
また、医療現場からフィードバックされた技術を搭載した「家庭用普及モデル」も台頭しています。高度なICU向け製品が100万〜300万円超という高価格帯であるのに対し、一般家庭用は比較的手が届く価格帯です。体に何も装着しない「非接触・非拘束」でのデータ計測を基本とし、スマホアプリと連動していびきを感知すると自動で頭部を数度上げて気道を確保する機能や、AIが体調に合わせてマットレスの硬さや温度をリアルタイムで微調整する機能など、利便性とケアの両立が進んでいます。
「スマートベッド市場の成長は、健康を自分で管理するという意識が、家庭に浸透した結果と言えます。まずは病院や介護施設が、深刻な人手不足を解消し、転倒防止やバイタル監視の精度を高めるために導入しました。その実績が、一般家庭へと広がりを見せています」(医療系サイト編集者)
これまで病院の専売特許だった高度なモニタリング機能は、自宅の寝室というプライベートな空間でも実現するのだろうか。
「もしそうなれば、病気の早期発見や未病改善のハードルは劇的に下がるかもしれません。価格面や一般普及にはまだ課題も残りますが、IT大手との提携により、将来的に寝室は医師不足を補う高度医療ネットワークの重要な一端を担うことになるのではないでしょうか」(前同)
ネット上でも、未来の睡眠に対する期待と切実な声が数多く寄せられ、
「腰痛持ちなので、寝返りに合わせてマットレスの硬さが変わる機能に惹かれる」
「高齢の両親が離れて暮らしているので、睡眠中の心拍や呼吸に異常があった時に通知が来るシステムがあれば安心材料になる」
「100万人超のバイタルをAIが解析して孤独死のリスクをゼロに近づけられるなら、決して高い買い物ではないと思う」
といった声も。
将来的な介護リスクの回避を重視する層にとって、スマートベッドは有力な選択肢となりつつあります。高額な入院費や負担を抑制し、最期まで住み慣れた場所で質の高い生活を維持するためのデバイスとして広く普及する日はそう遠くないかもしれません。
トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。