■高橋一生主演『リボーン』には過去の2つのヒットドラマの影がチラリ

『VIVANT』と同じ2023年7月期に放送された松岡茉優(31)主演の『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ系)も当時、人気を博した。同ドラマは、“卒業式の日に上階から突き落とされた高校教師が始業式の日にタイムスリップし、自分を殺した生徒を見つける”というストーリー。“犯人捜し”という考察ポイントも含めて、『リボーン』の“階段から突き落とされた社長が過去に別人としてタイムスリップする”という設定に近いところを感じさせる。

 また、『リボーン』は2012年の時代感をリアルに描いているが、24年1月期には、リアルな昭和(1986年)を描いた阿部サダヲ(56)主演の『不適切にもほどがある!』(TBS系)が大ヒットしていた。 

 そうした背景も踏まえた上で、元テレビ朝日プロデューサー・鎮目博道氏は、今期の考察ドラマ乱立についてこう分析する。

「まず確実に言えることは、考察ドラマはSNSで話題になりやすいんです。視聴者同士で多くの推理が飛び交うわけで、観客としてみんなで一緒に見て、楽しめるんです。言うなれば、学校で同級生たちと、昨日見たテレビの話で盛り上がるような……そういう空気感を作れるんですよね。

 それに、普通ドラマは1話がダメなら人気も尻すぼみに下がっていくものですが、考察ドラマは違う。途中にも盛り上がる山場を作れるため、右肩上がりにしやすいところがあるんです」(鎮目氏、以下同)

 TVerなど見逃し配信が普及していることも、ブームに影響しているようだ。

「昔は1回放送されたらそれで終わりでしたが、現在は違いますよね。多少遅れていても見逃し配信がありますから、序盤を見逃した人でも考察に参加できる。それに、考察するためには、何回も詳しく話を見直す必要があるわけですから、その意味でも配信と相性がいいんです」

 さらに鎮目氏は、直前の26年1月期には『ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック』(2月6日~22日)や『2026 ワールド・ベースボール・クラシック』(3月5日~17日)などドラマ以外のビッグイベントが多かったことも、4月期ドラマに影響を与えていると“考察”する。

「冬季オリンピックなどの影響で1月期はドラマ全体が盛り上がりにくいところがありましたが、現在はそういう大イベントがない時期ですよね。だから各局は、4月期ドラマを盛り上げようという狙いなのでは。それで盛り上がりやすいジャンルの”考察ドラマ“を今期に放送して、勝負をかけていると考えられます」

 1月クールには鈴木亮平(43)主演の日曜劇場『リブート』が考察ドラマとして大ヒットしたが、鎮目氏は同作の意外な話に触れ、それが“考察ドラマの強み”でもあると分析する。

「“考察ドラマ”はお金をかけて派手な映像を撮らなくても、仕掛けを入れて、視聴者に謎を推理させていくことによって盛り上げることができるんです。近年は、テレビ界の制作費も厳しくなっています。ですから、“安く作れて盛り上がるドラマを”という方針だといいます。

 そして、大ヒットした『リブート』も、実はそこまで制作費はかかっていないと言われているんです。画面の派手さじゃなくて、推理・考察の楽しさで視聴者を引っ張ることができたと。それを受けて各局はより、“考察ドラマで勝負を”となっているのかもしれません」

 そして、鎮目氏はこう続ける。

「『VIVANT』は超豪華な作品でしたが、SNSが物凄く盛り上がるなど大成功でしたよね。考察ブームに火をつけた作品の1つと言って間違いないでしょう。ちなみに、韓国でも考察ドラマは流行っていますので、世界的にヒットを狙えるジャンルだというのも、現在のブームに影響しているのではないでしょうか」

 今年7月から2クールに渡って続編が放送される『VIVANT』。考察ドラマ乱立の4月期ドラマの終了後に、“大本命”が再び降臨することになる――。

鎮目博道
テレビプロデューサー。92年テレビ朝日入社。社会部記者、スーパーJチャンネル、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。ABEMAのサービス立ち上げに参画。「AbemaPrime」初代プロデューサー。2019年独立。テレビ・動画制作、メディア評論など多方面で活動。著書に『アクセス、登録が劇的に増える!「動画制作」プロの仕掛け52』(日本実業出版社)『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)