■「会社員という立場はとても恵まれていると思います」

――これまでテレビマンとして働いてきた高橋さんはテレビは“オワコン”だと思いますか? もしそうだとしたらテレビが生き残るために必要なことは何だと思いますか?

 まず、テレビは不便じゃなくなることが必要ですね。リアルタイム性をなくすことや、色々なルールを見直さないといけない。

 現状許されていることとか、権利の問題とか、音楽使用とか、タレントのギャラ相場とか……多分、今テレビを作る根本になっているすべてのルールが“リアルタイムだからこの値段”とか”リアルタイムだからOK”という前提で作られていると思うんです。

 そういう、無数にあるテレビのルールを根幹から崩す作業が必要なので、ステークホルダーが多すぎて、それを処理する労力が大変すぎる気もして難しいですね。

高橋広樹/撮影・ピンズバNEWS編集部

――最後に『なんで会社辞めたんですか?』の読者に伝えたいこととは?

 会社員という立場はとても恵まれていると思います。

 テレ東という会社を辞めて、株式会社tonariという動画メディアを作る会社を起業することと、ABEMAを運営しているサイバーエージェントへの入社、2つを同時に経験しました。

 今こそ独立して色々な仕事ができますが、それって全部会社員時代に教わったことだと思うんです。映像の作り方も、人とのお付き合いも、基礎訓練は会社で済ませていたので、会社員はとても恵まれた環境にいるから勉強した方がいいなと思う。

 20代の子たちと一緒に久々に入社して思うのは……会社は不思議で“入りました”って言った瞬間に、何百人も仲間ができるんです。例えば家族だって、結婚したって親戚になるのって多くても2,30人で、サークルに入っても15人とかですよね?

 でも、会社に入ったら“会社のために頑張ろうよ”と同じ方向を向く数百人の仲間が一気にできる。そんな仲間が一気にできる経験って会社ぐらいだと思います。テレ東に入社した時にはあまり感じなかったんですけど、改めて700~800人の仲間を形式的には失って、もう1回別の会社に入社して数千人の仲間を得た経験をすると、“会社に入るとこんなにすぐ仲間ができるんだ”と思いました。

 会社仲間ってのは使いようで、色々教えてくれるし、知らない価値観を持ってるし。“利害関係が一致している”ことで情報交換がしやすいんです。フリーって情報交換しづらいですから!

 この本に登場する方々はそれなりに会社員人生と向き合ってきた人たちが多いと思うので、この本を読んで会社との付き合い方など、”会社員人生”を過ごす方の参考になれば嬉しいですね。

――ありがとうございました!

■高橋弘樹(たかはし・ひろき)
 1981年7月、東京都江東区出身。2005年にテレビ東京に入社。『家、ついて行ってイイですか?』『ジョージ・ポットマンの平成史』などを制作。2021年に日本経済新聞社とテレビ東京の共同事業プロデューサーに就任、YouTubeチャンネル『日経テレ東大学』を立ち上げる。著書に『1秒でつかむ』(ダイヤモンド社)、『TVディレクターの演出術』(筑摩書房)など。早稲田大学政治経済学部卒。