■高橋Pが繰り返し見る名作とは?

――高橋さんがチェックしているテレビ番組などがあれば教えてほしいです。

 ないんですよ、本当にコンテンツ見なくて。一部の超絶好きなコンテンツを繰り返し見るタイプで、人生で多分10本ぐらいのコンテンツを執着して何回も見るタイプ。だから新しいものは分からないです。

 スタジオジブリの『耳をすませば』(1995年・監督:近藤喜文、脚本:宮崎駿)とか、『秒速5センチメートル』(2007年・新海誠)、『ズートピア』(2016年)が好きです。

 アニメ以外だと、中国映画の『山の郵便配達』(2001年)、ドキュメンタリーだとNHK『ヤノマミ~奥アマゾン 原初の森に生きる〜』(2009年)とか、好きなコンテンツだけをずっと見てます。

――テレビマンとして必要なスキルと、社会人として必要なスキルの共通点はありますか?

 サラリーマンでいるうちに、出世を諦めることはあんまり選択肢として良くないと考えています。常に会社の中でルールに従って仕事をするということ、つまり出世を目指すことは、会社員になったからには最低限のたしなみで、野心というよりも礼儀な気がしていて。

 というのも、特に自分が好きなことや”新規事業をやりたい”とかいう人ほど、出世競争を目指さないんですよ。でもそういう人たちが出世競争から降りると、出世だけが目標の人が会社に残り、不健全だなって思いがあって。そういう人だけが残らないようにするには、みんなが上を目指したほうがいい。

 “アナウンサーのような専門職だから出世を目指さない”というのは“専門職の意見を誰が代弁するのかな?”と思う。”独立すればいいから、出世競争には参加しない”とかってなると、結局優秀な人は外部に流出していく。会社として発展していくためには、みんなが出世を目指したほうがいいなという気がしています。

高橋広樹/撮影・ピンズバNEWS編集部

■高橋弘樹(たかはし・ひろき)
 1981年7月、東京都江東区出身。2005年にテレビ東京に入社。『家、ついて行ってイイですか?』『ジョージ・ポットマンの平成史』などを制作。2021年に日本経済新聞社とテレビ東京の共同事業プロデューサーに就任、YouTubeチャンネル『日経テレ東大学』を立ち上げる。著書に『1秒でつかむ』(ダイヤモンド社)、『TVディレクターの演出術』(筑摩書房)など。早稲田大学政治経済学部卒。