■教室に防犯カメラの設置も検討せざるをえない

 心身の発達が未成熟なことから、児童の場合、自分が不適切な撮影の対象になっていることに気づきにくい場合もある。この点について内田氏は、「まず重要なのは、不適切な撮影の機会そのものが生じにくい環境を整えることです」とした上で、授業に使用するデジタル機器の適切な管理を提唱。

「これまで学校では、教員が私物のスマートフォンやタブレット端末を授業等で使用する場面が少なくありませんでした。背景には、機器整備の遅れや、学校備品の使い勝手の制約などがあります」と現場の事情に触れながら、「こうした状況は、結果として不適切な利用の余地を残すことにもつながりかねません。そのため、業務用として適切に管理された端末を教員に提供し、私物端末の業務利用を制限することが一つの重要な対策となります」と述べた。

 だが、「これだけで十分とは言えません」との私見も述べ、「これは事実確認にも有効ですが、防犯カメラの設置なども検討せざるをえない段階にきていると思います」と事態の深刻さをにじませている。

 最後に、学校という閉鎖空間での盗撮行為などを早期発見するため、保護者がどうすればいいかをたずねると、「盗撮に限らず、また教員による加害に限らず、子供は学校生活の中でさまざまな被害に直面する可能性があります」と前置き。

 完全に防ぐことは難しいことを理解の上で、「その際、被害の内容や子供の性格によって、相談しやすい相手や方法は異なります。担任や養護教諭、カウンセラー、保護者、あるいは外部の相談窓口など、多様な選択肢があります。保護者としては、子供が違和感や不安を覚えたときに、それを一人で抱え込まず、複数の相談先のなかから選択して相談できるよう、日頃から子供に伝えておくことが重要です」と解説。様々な選択肢から子供にあったケアを行うべく、事前に共有しておくことが大事だとした。

 教員のみならず、児童・生徒間での盗撮被害も度々報じられる学校現場。大人たちには、安心してすごせる環境づくりが求められる。

内田良(うちだ・りょう)
名古屋大学大学院教育発達科学研究科教授。専門は教育社会学。博士(教育学)。学校リスク(スポーツ事故、体罰、自殺、教員の部活動負担・長時間労働など)の事例やデータを収集し、隠れた実態を明らかにすべく研究を行なっている。ヤフーオーサーアワード2015受賞。近年の主要な著作に『学校ハラスメント』(朝日新聞出版・2019)、『ブラック部活動』(東洋館出版社・2017)など。