■考察なしでも支持されるちょうどよさ
X上では、《毎回謎解きと文学の楽しさ、大阪を懐かしく知れるところ、登場人物たちの成長、固定概念壊すところ、好きだけでは言い表せない共感とオタク心くすぐる展開がたまらない》《トリックとか動機はあっさりめなんだけど、ママが!ルナさん(波留)が!!可愛すぎる!》などと、ミステリーならではの考察よりも、キャストやプロットに称賛の声が多く寄せられている。
数字は好調だが、中身はそこまで刺激的な作品ではなく、どちらかといえば穏やかな後味を残す本作。痛快文学ミステリーとうたい、1話完結で事件を解決しているが、物語の筋になっているのは、涼子のかつての恋人・カズト(作間)探し。しかしその発端が「別れ方が納得いかない」だけで事件性がないためか、考察はさほど盛り上がってはいない。
ただ、その“そこそこな感じ”がいいのかもしれない。文学のうんちく、きれいに収まる謎解き、大阪の街並み、波瑠と麻生が並んだ絵の華やかさは、週の真ん中、水曜の夜に仕事で疲れた頭を休ませるのに、ちょうどいいのだろう。同枠は昨年10月期の逃亡サスペンス『ESCAPE それは誘拐のはずだった』、今年1月期の実験的な恋愛ドラマ『冬のなんかさ、春のなんかね』が、全話平均3%台で連続惨敗中。刺激的であればいいというわけではないようだ。
序盤は視聴率、配信ともに上々の数字の本作。今後は涼子(麻生)、ルナ(波瑠)、カズト(佐間)、さらにチラ見せのIT企業の社長・佐藤貴和子(鈴木砂羽/53)と、バドミントンのダブルスで涼子とペアを組んでいた七海さつき(遠藤久美子/48)が絡んで、いろいろな謎が明らかになっていくのだろう。
次回、涼子がカズトとの再会を果たし、大阪編はついに最終章へ。予告にはルナの「姫との時間も間もなく終わりです」という、気になるセリフもある。これまで希薄だったミステリー要素が増えれば、視聴者の考察も一気に盛り上がるかもしれない。そうなれば、しばらくTVerでの独走が続きそうだ。(ドラマライター・ヤマカワ)